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Mail Magazine

075:太古のおまじない

滅多に病院に行く機会のない生活をしているのですが、2~3年に1回ほどのペースで皮膚科にお世話になることがありまして、2年前に友人の結婚式が続いた時には、食事が原因で肌が大いに荒れたことも。その際に、お世話になった先生が「わしはステロイド剤は出さん」「色のついた服を着るな」「食事をあらためんか」と怒ってくれる、とても元気なおじいちゃん先生だったのですが、皮膚科専門のお医者さんって変わった人が多いと思うのは僕だけでしょうか。一人で仕事をしていると怒られる機会もあまりないので、“たまには怒ってもらえるのもいいなあ…”とか思ってしまったのですが、皮膚科に用があって、且つ怒られたい方はお知らせください。



先日は、この怒ってくれるおじいちゃん先生のところではなく、大きな病院の皮膚科に検査を受けに行きまして(病気や怪我ではないのでご安心下さい)、皮膚をちょっと摘ままれるという検査だったのですが、処置室には、万人を癒しそうなヒーリングミュージックがかかっていました。“先生の趣味かな…”なんて勝手に想像していましたら、「怖がる患者さんもいらっしゃるので、少しでも気を紛らわしてもらうために優しい音楽をかけています」とのことでした。たしかに、実際に僕は“先生の趣味かな…”なんて考えていたわけですし、痛みに意識が向くことはなかったです。子どもに注射を打つのがうまい先生は、打つ技術だけでなく気を紛らわすのも上手な気がします。



とても身近なところでは、きっと皆さん一度は「痛いの痛いの飛んでいけ」を唱えたことがあるのではないでしょうか。ちょっとした意識の変化で、“お、なにとなく痛みが和らいだかもな”なんて体験をされているかもしれませんね。そして、中には、痛いのが気持ち良いと感じられる方もいらっしゃるかもしれません、、、、(意識コントロールが上手な証拠ですよ、きっと…)。



実は、大昔のインドにも、このように気を紛らわす天才たち(と表現するとインドの偉い人に怒られそうなのですが…)が居たことによって、今日にも伝わるヨガやアーユルヴェーダが発展してきたことをご存知でしょうか。



今から約3,000年前に書かれたとされる聖典『アタルヴァ・ヴェーダ』のことなのですが、「聖典」と言うと如何にもという感じがしますが、簡単に説明すると「日常で使える呪文集」です。基本的に大昔の重要文献(聖典)は、階級の高い人たちが祭式で使用するために書かれているのですが、この『アタルヴァ・ヴェーダ』に関しては、「熱病を癒すための呪文」「出血・下痢を癒すための呪文」「蛇の毒を癒すための呪文」など、一般庶民の生活に関することばかりが記されており、大衆に大ウケします。いわゆる「痛いの痛いの飛んでいけ」のすごい版なのですが、このような民間信仰に根差した考えが基になり、「人体とは──」「宇宙とは──」というヨガやアーユルヴェーダ、さらには仏教の考えとしても発展していくのです。気の紛らわし方といいますか、気の持ちようで病を癒すどころか哲学が発展して、宗教が興るという、なんともスケールの大きいことに繋がるみたいです。



ちなみに、この『アタルヴァ・ヴェーダ』の呪文集の中には、「頭髪の生長を促進させる呪文」や「女子/男子の愛を得る為の呪文」「恋敵の女子を呪う呪文」「夫の浮気心を更生させる呪文」などもありまして、あぁ、人って3,000年前からあまり変わっていないんだなあ…と思わされます。



Sahanaメルマガ vol.210(2021年7月)より

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