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瞑想|幸福の促進と、意識および脳の理解へ向けて

瞑想|幸福の促進と、意識および脳の理解へ向けて

瞑想と神経科学の融合というテーマの、平岡が好きな領域の論文をご紹介いたします。

瞑想の効果は古くから知られていますが、そのメカニズムを科学的に明らかにすることは、特に現代の西洋医学や精神医学では重要な課題かもしれません。

この論文では、瞑想のメカニズムを神経科学的な視点から深く探求しており、実際の神経基盤を明らかにするためのアプローチとして、非侵襲的脳刺激(NIBS)を取り入れている点が斬新です。

また、NIBSと瞑想の組み合わせが持つ可能性に大きな期待を感じます。

瞑想は既にメンタルヘルスや幸福感を向上させるツールとして広く受け入れられていますが、NIBSを使ってその効果をさらに強化したり、特定の脳のネットワークをターゲットにして瞑想の効果を高めたりすることができるという提案は、瞑想が持つ治療的価値をさらに高める可能性を秘めているとは思いませんか。

これは特に、長期的な瞑想実践者や、より高度な瞑想を追求する人々にとって、新しい次元の効果をもたらすかもしれません。


一方で、このような研究では仕方ないことかもしれませんが…、方法論的な課題に関しても考慮すべき点が多いという懸念点も。

本論文で指摘されているように、瞑想の研究はまだ発展途上であり、サンプルサイズの小ささや研究デザインのばらつきが結果の解釈を難しくしています。

また、瞑想経験の異なる参加者をどのように評価するか、瞑想の種類や深さが結果にどう影響するかといった点も、今後の研究で解決すべき課題というわけです…。


瞑想と意識の関係についての探求が、科学的かつ哲学的に非常に刺激的なテーマだと思っています。

瞑想が脳にどのような変化をもたらし、意識の構造や自己認識にどのような影響を与えるのかというテーマは、意識研究における新たな展望を開く可能性があるので、なんだか少しワクワクしませんか。

この論文は、瞑想の意識変容効果をより詳細に明らかにし、その結果として脳と心の関係性を深く理解するための重要な一歩といえるかもしれません。

 下記、研究の要約まとめです。

Neuromodulation and meditation: A review and synthesis toward promoting well-being and understanding consciousness and brain

Kilian Abellaneda-Pérez a b, Ruby M. Potash c d, Alvaro Pascual-Leone e f, Matthew D. Sacchet c d
a:Departament de Medicina, Facultat de Medicina i Ciències de la Salut, Institut de Neurociències, Universitat de Barcelona, Barcelona, Spain
b:Institut Guttmann, Institut Universitari de Neurorehabilitació adscrit a la Universitat Autònoma de Barcelona, Badalona, Barcelona, Spain
c:Meditation Research Program, Department of Psychiatry, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, USA
d:Athinoula A. Martinos Center for Biomedical Imaging, Department of Radiology, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, Charlestown, MA, USA
e:Hinda and Arthur Marcus Institute for Aging Research and Deanna and Sidney Wolk Center for Memory Health, Hebrew SeniorLife, Boston, MA, USA
f:Department of Neurology, Harvard Medical School, Boston, MA, USA
Received 6 June 2024, Revised 16 August 2024, Accepted 17 August 2024, Available online 24 August 2024, Version of Record 7 September 2024.


『神経調節と瞑想:幸福の促進と意識および脳の理解に向けたレビューと統合』


【背景】
瞑想は、古代から伝統的な修養法の一つとして、主に南アジアを起源に持つ実践です。近年では、瞑想がうつ病、依存症、痛みなどの症状に対して効果的であることが認識され、非臨床的および臨床的な文脈で広く利用されています。瞑想が脳の機能や構造にどのような影響を与えるのか、科学的な解明が進んでいますが、そのメカニズムについては未だ不明な点が多いです。この論文は、瞑想と神経科学の最新の理解をまとめ、さらに非侵襲的脳刺激(NIBS)を用いて脳活動と瞑想の関連を調査し、幸福感や意識の理解を深めようとするものです。


【研究の目的】
この研究の目的は、非侵襲的脳刺激(NIBS)を活用して、瞑想が脳に与える影響を調査し、瞑想の効果を強化できるかどうかを探ることです。特に、瞑想の長期的な実践者における脳の神経活動を明らかにし、瞑想と意識の神経メカニズムを理解するための新たな道を探ることを目指しています。


【瞑想とは?】
瞑想とは、意識的に心と体を調整する技法であり、特定の目的を持って行われる集中や観察、解放、想像、動きなどを含む多様な実践の総称です。マインドフルネスやマントラ瞑想、ヨガ、太極拳などがその例です。これらの実践は、自己の意識を深め、現在の瞬間に集中することで、心身の健康や幸福感を高めるとされています。


【脳の構造と瞑想】
瞑想の長期実践は、脳の特定の構造に影響を与えることが示されています。瞑想を実践する人は、前頭前野、帯状皮質、感覚皮質、海馬などの灰白質の密度が増加することが確認されています。これらの領域は、意識のメタ認識、身体の内外感覚、感情調整、記憶機能などに関与しており、瞑想が脳の構造にポジティブな影響を与えている可能性が示唆されています。


【瞑想の神経科学的理解】
瞑想は脳の活動にも影響を及ぼします。例えば、マインドフルネスはデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれる脳のネットワークの活動を低下させ、自動的な思考や自己参照的なプロセスを抑えることがわかっています。また、前頭前野や帯状回などの脳領域も活性化し、注意力や認知的制御が強化されることが示されています。


【非侵襲的脳刺激(NIBS)とは何か】
非侵襲的脳刺激(NIBS)は、電磁場や微弱な電流を用いて脳の特定の領域に影響を与える技術です。主な方法として、経頭蓋磁気刺激(TMS)と経頭蓋電気刺激(tES)があります。TMSは、磁場を用いて脳に電流を誘導し、神経細胞の活動を一時的に変化させるもので、tESは頭皮に微弱な電流を流して脳の活動を調整します。これらの方法は、瞑想と組み合わせることで脳の活動をさらに調整し、瞑想の効果を高める可能性があるとされています。


【これまでのNIBSと瞑想の研究の成果】
これまでの研究では、NIBSと瞑想を組み合わせることで、前頭葉や頭頂葉の皮質における活動が変化することが確認されており、行動面や脳の効果を強化できる可能性が示されています。特に、長期的な瞑想実践者では、NIBSを使用することで独自の神経的なパターンが見られることがわかっています。


【研究方法や手法の課題】
NIBSと瞑想に関する研究には、方法論的な課題が存在しています。これには、研究デザインのばらつきや、参加者の瞑想経験のレベルの違い、サンプルサイズの小ささなどが挙げられます。また、NIBSを用いた実験では、正確な制御条件の確立が難しく、これが結果の解釈に影響を与える可能性があります。


【今後の研究の方向性】
今後の研究では、特定の脳のネットワークや脳波の振動、そして高度な瞑想に関連する因果的な神経メカニズムをさらに調査する必要があります。これにより、NIBSを活用した瞑想研究が、より効果的な介入手法として発展する可能性があり、瞑想が脳に与える具体的な影響をさらに理解できるようになるでしょう。


【NIBSと瞑想がもたらす可能性】
NIBSと瞑想の組み合わせは、臨床的および非臨床的な集団において、レジリエンス(回復力)や幸福感を向上させる可能性があります。また、これにより、瞑想や意識の脳と心のメカニズムを解明する新たな手がかりが得られるかもしれません。



▼論文タイトルに沿った追加まとめ

【瞑想と幸福度】
この論文では、瞑想が幸福度を向上させる強力な手段であることが指摘されています。特に、マインドフルネスに基づく瞑想は、ストレス管理や感情調整、注意力の向上に効果があるとされており、これが個々の幸福感を高める要因となっています。研究では、瞑想がメンタルヘルスの向上に寄与するだけでなく、うつ病や依存症、痛みの緩和といった臨床的な効果も報告されています。

さらに、瞑想はレジリエンス(回復力)を強化し、困難な状況に直面した際の精神的な耐性を高める効果があるとされています。これは、脳の構造や機能にポジティブな変化をもたらす瞑想の特性と関係しており、特に前頭前野や帯状皮質、感覚皮質、海馬などの脳領域が関与しています。

また、非侵襲的脳刺激(NIBS)と組み合わせることで、瞑想の神経効果をさらに強化し、幸福感や認知機能を向上させる可能性も提案されています。NIBSは、脳の特定の領域を刺激することで瞑想の効果を高め、脳の神経的なネットワークを最適化し、より深い瞑想状態を促進すると考えられています。

最終的に、瞑想とNIBSの組み合わせが幸福感を高めるための強力なツールとして機能し、個人の精神的な健康や幸福度を支える重要な介入法となりうると結論づけています。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

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