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慢性的な原因不明の腰痛に対するヨガの効果

慢性的な原因不明の腰痛に対するヨガの効果
記事作成日
2025年3月25日

腰痛はとても一般的な症状なので、皆さんは日ごろからこの言葉をよく聞くと思います。言葉どころか、現在腰痛をお持ちの方も少なくないかもしれません。

そんな腰痛中には「非特異的腰痛」と呼ばれる原因不明のタイプがあります。これは特に慢性化すると生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。そのため多くの人が、痛みの軽減や日常生活の改善を目指して色々な運動や治療法を試しているわけですが、その中で最近特に注目されているのがヨガなんです。

現在では、ヨガは「身体を使ったポーズに呼吸法や瞑想を組み合わせる心身統合的な運動」という認識がなされ、柔軟性を高めたり、リラックス効果を得られるとされています。では、実際にヨガは慢性的な腰痛に効果があるのでしょうか?この研究では、世界各国で行われた21件の臨床試験(2223人の参加者)をまとめて分析しました。

分析の結果、ヨガを行った人たちは、運動をまったく行わなかった人たちと比べて、腰の機能や痛みに小さな改善が見られました。ただ、その改善の度合いは臨床的にはあまり大きな意味がない程度でした。また、ヨガを行った人の中には腰痛が一時的に悪化した人も。

一方で、ヨガを他の一般的な運動(例えば理学療法など)と比較すると、痛みや腰の機能の改善に大きな差はありませんでした。つまり、「ヨガだから特別に効く」というわけではなかったのです。

ただし、ヨガが他の運動よりも悪いわけでもなく、副作用のリスクも他の運動と同じくらいでした。また、生活の質やメンタル面の改善に関しては、わずかながらヨガの方が良い影響を与えているというデータも。

総合的に考えると、慢性的な腰痛に対しては、「何もしない」よりはヨガを行った方が良さそうですが、ヨガに過度な期待をすることは避けるべきかもしれません。他の運動でも同様の効果が期待できるため、個人の好みや継続しやすさ、ヨガスタジオへの通いやすさなどを考慮して、運動療法を選ぶということが重要ですね。

今回の結果は、ヨガを行う場合、専門的な指導者のもとで適切に行うことが重要であることも示しています。慢性腰痛に悩んでいる方は、自分の身体に合った方法をじっくり検討し、適切な運動を続けることが大切だといえますね。

 下記、研究の要約まとめです。

Yoga for chronic non-specific low back pain

ID: CD010671
AU: Wieland LS
AU: Skoetz N
AU: Pilkington K
AU: Harbin S
AU: Vempati R
AU: Berman BM
TI: Yoga for chronic non‐specific low back pain
SO: Cochrane Database of Systematic Reviews
YR: 2022
NO: 11
PB: John Wiley & Sons, Ltd
SN: 1465-1858
KY: *Low Back Pain [therapy]; *Yoga; Adult; Female; Humans; Male; Physical Therapy Modalities; Quality of Life; Treatment Outcome
CC: [Back and Neck]
DOI: 10.1002/14651858.CD010671.pub3
US: https://doi.org//10.1002/14651858.CD010671.pub3


【タイトル】
慢性的な非特異的腰痛に対するヨガ


【背景】
非特異的腰痛とは、原因が特定できないタイプの腰痛のことで、多くの人が悩んでいる症状です。特に3か月以上続く慢性腰痛は、日常生活に大きく支障をきたすことが多く、治療には運動療法が推奨されています。ヨガは身体的ポーズ(アーサナ)、呼吸法(プラーナヤーマ)、瞑想などを含む心身統合的な運動療法であり、腰痛の改善に有効かもしれないと期待されています。


【腰痛とは?】
腰痛は腰の下部、肋骨の下から臀部までの範囲に痛みや不快感が生じる症状です。原因がはっきりしない腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれます。腰痛が3か月以上続く場合を「慢性腰痛」と分類し、これは非常に一般的で世界的にも多くの人が経験しています。


【ヨガと腰痛】
ヨガはインドを起源とする運動で、筋力強化や柔軟性の向上、リラクゼーション効果に加え、体への気づきを促す効果があります。こうしたヨガの要素が慢性腰痛に対して有効である可能性があるとして、近年多くの研究が行われています。


【方法】
本研究は、ヨガが慢性の非特異的腰痛に効果があるかどうかを調べるため、過去に行われたランダム化比較試験(RCT)を統合して分析した系統的レビューです。ヨガの効果を「運動をしない場合」および「ヨガ以外の他の運動療法」と比較し、痛みや身体機能、生活の質(QOL)、副作用などについて評価しました。


【サンプル】
対象としたのは、アメリカ、イギリス、インド、ドイツ、スウェーデン、トルコ、クロアチアで行われた21の研究(参加者合計2223人)です。参加者の多くは40〜50代の女性でした。ヨガの種類としては、*1アイアンガーヨガ、ハタヨガ、*2ヴィニヨガなどが主に用いられました。

*1: 【アイアンガーヨガ(Iyengar Yoga)】
アイアンガーヨガは、B.K.S.アイアンガー氏によって考案されたヨガのスタイルです。特徴としては、ひとつひとつのポーズ(アーサナ)を非常に丁寧かつ正確に行うことを重視している点があります。ブロック、ベルト、椅子などの補助道具(プロップス)を積極的に使い、初心者や身体が硬い人、また怪我や疾患がある人でも安全にポーズを行えるように工夫されています。姿勢や身体のアライメント(整列)を特に重視しているため、慢性腰痛や姿勢の改善に効果的だとされています。

*2: 【ヴィニヨガ(Viniyoga)】
ヴィニヨガは、インドのクリシュナマチャリア師から受け継がれ、その息子T.K.V.デシカチャー氏によって体系化されたヨガのスタイルです。特徴は、「ひとりひとりの状態に合わせた指導法(個別化)」にあり、ポーズや呼吸法を個人の体調や目的に応じて柔軟に変化させます。ヴィニヨガはゆっくりとした動きと深い呼吸の組み合わせを大切にしており、身体の調整だけでなく、メンタル面(心の安定)にも効果があると言われています。特に治療的アプローチを持つため、慢性的な症状を持つ人へのヨガ療法(ヨガセラピー)にもよく使われます。


【結果】
運動をしない場合と比較すると、ヨガは腰痛の症状や機能面を小さく改善する可能性がありましたが、その効果は臨床的には大きな意味を持たない(効果が小さい)とされました。また、他の一般的な運動療法とヨガの効果を比べると、身体機能の面では差がほぼ見られず、痛みに関しても明確な差は確認できませんでした。ただし、ヨガは運動をしない場合よりも副作用(主に腰痛の一時的な悪化)のリスクが少し高いことが分かりました。


【考察】
ヨガは運動を全くしないよりはやや効果があるものの、その改善度合いはあまり大きくありませんでした。ヨガと他の運動療法との間には差がほとんどなく、特定のタイプの運動が特別に良いという明確な証拠は見つかりませんでした。ただ、ヨガが身体機能や生活の質の向上に一定の役割を果たす可能性は示唆されました。また副作用があるため、注意深く行う必要があります。


【結論】
慢性の非特異的腰痛に対して、ヨガは運動をしないよりは多少良い影響を与える可能性がありますが、その効果は小さく臨床的な重要性は低いです。他の運動療法と比較した場合、ヨガが特別に優れているとは言えず、副作用もあるため、ヨガを選択する場合は、個人の好みや指導者の適切な指導が重要になるでしょう。

引用文献は下記よりご覧下さい.

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