Yoga For Athletes/Fitness
強く、しなやかな身体に―
Yoga実習の大きな基礎となる座法(アーサナ).
それは単なる“ストレッチ”でも“筋トレ”でもありません.
筋の過緊張を解きほぐし、眠っていた筋を呼び覚まし、
体全体のバランスを整えていきます.
力まず、息を止めず行う.
そのため、自律神経系と身体のバランス、
さらには心と体のバランスが、
ゆったりと且つしっかりと調律されてゆきます.
結果、
ランニングや筋力トレーニングとは少し異なった
ヨガ特有の柔らかで線が細いけれども力強い
そのような体が作られてゆきます.
心身の調律とパフォーマンス力
競技力の向上のために、基礎的能力として、身体の柔軟性や強靭さはもちろんのこと、体と心のバランス感覚も求められます。鍛えられた身体で最大限の能力・技術を発揮するためには、確かな精神力と、ここ一番の集中力が必要です。
「体が勝手に動いた」と思わせるほど、完璧なまでのパフォーマンスは“ゾーン”と呼ばれます。ヨガでは、規律を正し・身体を鍛え・気を調え・集中し・高次元のパフォーマンスを発揮するための科学的なシステムが確立されています。
そして、その過程には“ゾーン/無我の境地”と呼ばれる、普通の状態を越えた力が発揮できる意識状態があるのです。
ヨガとは、“体”のみならず、“心”そして“心身の調律”にフォーカスを当てたトレーニングシステムなのです。
回復・怪我の予防
心身を調律するための手段として、ヨガはとても有効的であると言えます。ストレスを表すといわれる血中コルチゾール値や唾液アミラーゼ値が、ヨガの実習によって短期~中期的に下げられたと報告する研究論文は世界各国から報告されています。
また、心理的ストレス値の減少も有意性が認められており、身体的にも精神的にもストレスへの不快感を減少させる可能性が、ヨガには大いにあるのです。
筋膜とアナトミー・トレイン
今日ではスポーツ/フィットネス関係でよく耳にすることがある「筋膜」という言葉。筋膜とは、私たちの体を覆う薄いゼラチン質の膜です。伸縮性のあるボディスーツを想像頂ければわかりやすいと思うのですが、スーツ全体が柔軟性・耐久性に優れていると、より高いパフォーマンスを発揮できますよね。このスーツの一部が硬くなってしまい、伸縮性が乏しいとどうなるでしょうか?こうなってしまうと、残りの9割の部分が110%伸びることによって全体の伸縮性を保とうとしてしまい、原因と異なる箇所にも痛みが生じる結果となります。
このように、筋肉を「部位(筋)」として捉えるのではなく、ひとつの「機能(筋筋膜)」として捉える“アナトミー・トレイン”(Thomas W. Myers, Myofascial Meridians for Manual & Movement Therapists, 2009)という考え方があります。この考え方において、ヨガのアーサナ(ポーズ)は筋筋膜経線(動きの中で関係しあう各筋肉の繋がり=アナトミー・トレイン)のストレッチ・強化・バランス感覚を養う上でとても効果的であると言及されているのです。
身体操作能力とバランス
全ての種目において、高い競技力を発揮する上で必要な要素の一つは、「思った通りに身体が動かせること」ではないでしょうか。
ご自身の体を思った通りに動かせていますか?
心が乱れていては、バランスが取れません。
感覚に惑わされていては、バランスが取れません。
意識(固定観念)に捉われていては、バランスが取れません。
自身の体の隅々まで意識を巡らせ、筋力のみに頼らずに最大限の力を発揮できる方法を、是非ヨガの中で見つけてください。