Study
心理的ストレスと幸福感に対する瞑想プログラム
近年では、瞑想は手軽に始められる健康法として人気を集めており、スマートフォンアプリやオンラインプラットフォームにより、瞑想をより学びやすく、よりアクセスがしやすくなっていますよね。
皆さんも瞑想を行ったご経験があるのではないでしょうか。
また、世界的に瞑想に関する科学的研究が増え、その効果がより詳細に文書化されています。
ストレス緩和、不安やうつの症状軽減、心の健康の向上など、瞑想が心身に及ぼすプラスの影響が認知されてきております。
そんな中、日本における瞑想の役割もこれから大きくなっていくのではないでしょうか。
以下の項目で少し考察してみましょう。
▼ストレス社会での精神的健康の保持
日本は労働集約型の社会であり、ストレスが常に高い環境であることは多くの方が実感されているかもしれません。
瞑想は、仕事や日常生活のストレスを軽減する手段として、既に多くの日本人に受け入れられ始めています。
▼伝統的な宗教的・精神的実践への回帰
日本には禅やその他の瞑想的実践が古くから存在していますよね。
現代においてもこれらの伝統的な方法が見直され、新たな形で現代人の生活に取り入れられています。
▼福祉と健康への新しいアプローチ
瞑想は、医療や福祉の分野で補完的な治療法としても注目されており、心理療法と組み合わせることで、より効果的な治療手段となる可能性があります。
▼国際的なウェルネス・トレンドへの参加
グローバルなウェルネスのトレンドに積極的に参加することで、日本国内での瞑想の普及はさらに進んでいます。
これは、国際的なネットワークとの連携や、外国からの健康法の導入を通じて、日本の伝統的な健康観とも調和しています。
総じて、瞑想は世界的にも日本国内においても、心身の健康を支え、生活の質を向上させる有効な手段として認識されています。その普及は、科学的根拠に基づく健康法としてだけでなく、文化的な伝承としての側面も含んでいるため、今後もさまざまな形で広がっていくのではないでしょうか。
下記、研究の要約まとめです。
Meditation Programs for Psychological Stress and Well-being
A Systematic Review and Meta-analysis
Madhav Goyal, MD, MPH1; Sonal Singh, MD, MPH1; Erica M. S. Sibinga, MD, MHS2; et alNeda F. Gould, PhD3; Anastasia Rowland-Seymour, MD1; Ritu Sharma, BSc4; Zackary Berger, MD, PhD1; Dana Sleicher, MS, MPH3; David D. Maron, MHS4; Hasan M. Shihab, MBChB, MPH4; Padmini D. Ranasinghe, MD, MPH1; Shauna Linn, BA4; Shonali Saha, MD2; Eric B. Bass, MD, MPH1,4; Jennifer A. Haythornthwaite, PhD3
[Author Affiliations Article Information]
1Department of Medicine, The Johns Hopkins University, Baltimore, Maryland
2Department of Pediatrics, The Johns Hopkins University, Baltimore, Maryland
3Department of Psychiatry and Behavioral Services, The Johns Hopkins University, Baltimore, Maryland
4Department of Health Policy and Management, Johns Hopkins School of Public Health, Baltimore, Maryland
JAMA Intern Med. 2014;174(3):357-368. doi:10.1001/jamainternmed.2013.13018
「心理的ストレスと幸福感に対する瞑想プログラム:体系的レビューとメタ分析」
【研究背景】
多くの人々が心理的ストレスと関連する健康問題を軽減するために瞑想を行っています。瞑想プログラムが健康に与える影響を理解し、適切なアドバイスを提供するためには、臨床医にはこれらのプログラムの科学的根拠を知る必要があります。
【手法】
無作為化臨床試験を対象に、2012年11月までのMEDLINE, PsycINFO, EMBASE など複数のデータベースからデータを収集。選択された研究はプラセボ効果のためのアクティブコントロールを含んでいます。データは二人の独立したレビュアーによって抽出され、エビデンスの強度はリスクの偏り、精度、直接性、一貫性の4つの領域で評価されました。
【対象者】
瞑想プログラムの効果を評価するために選ばれた3,515名の参加者を含む47の試験。
【結果】
マインドフルネス瞑想は不安、うつ、痛みにおいて中程度の改善が認められましたが、ポジティブな気分や注意力、睡眠、体重に対する有意な効果は認められませんでした。また、瞑想プログラムがアクティブな治療法(薬物治療や運動療法など)よりも優れている証拠は見つかりませんでした。
【考察】
瞑想プログラムは心理的ストレスの負の側面を小から中程度に軽減する可能性がありますが、ポジティブな側面を改善する効果についてはさらなる研究が必要です。瞑想は長期的なスキルの習得が必要であり、短期間のトライアルでは限界があるため、長期的な研究が望まれます。
【結論】
臨床医は、瞑想プログラムが心理的ストレスに対処する手段として有用である可能性があることを患者に説明する準備をすべきです。しかし、瞑想の肯定的な側面についての効果を確定するためには、より強固な研究デザインが必要です。
引用文献は下記よりご覧下さい.
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