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Mail Magazine

078:気圧と小難しい呼吸の話

快晴かと思ったら横殴りの雨が降ったり、10分後にあっという間に快晴に戻ったと思えば、再び雨と風が吹き荒れたり…と、空の様子が頻繁に変わり、荒れた天気だった本日の横浜ですが、皆さまはご無事に過ごされていますでしょうか。「せっかくの三連休なのになぁ…」と、何度か呟かれてはいないでしょうか。この夏は台風が多く発生しているような気がしますが、これでもまだ平年並み程度らしいですね…。



西日本側から上陸した台風が温帯低気圧に変わった為、温かい空気が低気圧側に流れ込み、今日のような強い風となっているみたいです。ご経験ある方も多いんじゃないかなと思うのですが、密閉度の高いマンションなどの建物で、換気扇を回していると玄関の扉がなかなか開きづらいことはないでしょうか。外の空気が室内に流れ込もうとして、玄関扉を押しているからですね。このように供給される空気の量と、排出される空気の量の差によって陽圧と陰圧が作れるのですが、病院では免疫力の弱い患者さんの為の陽圧室(菌やウイルスが入ってこない環境)や、感染症患者さんのための減圧室(菌やウイルスが出ていかない環境)が利用されていますね。



実は、僕たちの身体の中にも、常に減圧されている陰圧室があることをご存知でしょうか。肺がある胸の空間を胸郭と呼ぶのですが、この胸郭と肺の間にさらに胸膜という膜がありまして、この膜の内側には胸膜腔という薄い空間が存在しています。この胸膜腔は密閉されており、常に大気圧よりも圧力が低い状態、つまり減圧状態となっているのです。そして胸部と腹部の仕切り版のようになっている横隔膜が、腹部側に下がることにより胸の空間がより広がり、更なる減圧が起こることで肺が受動的に膨らみ、息を吸うことができます(というメカニズムをイラストを使わずに、言葉だけで説明することって、本当に分かりづらいな、、、と思いました…)。



そんな言葉だけの説明では分かりづらい呼吸のメカニズムの話は一旦置いておきまして(機会がある方は是非ともスタジオで)、皆さんは、1分間の呼吸数を数えたことがありますでしょうか。平均的な1分間での呼吸数は16回とされていまして、この呼吸ペースでの1回あたりの換気量は500mlと言われています(ペットボトル1本分と考えたら、かなりの量の空気を出し入れしている感じがしますね)。1分間に30回を超えるような浅くて速い呼吸では、1回あたりの換気量は250mlと半分になってしまい、反対に8回/分ほどゆっくりと深い呼吸をすれば換気量は1,000ml/回と、呼吸ペースに応じて換気量は変わります。



「でも、単純に計算して、1回あたりの換気量は違えど、呼吸数を掛け合わせたら1分間の換気量は一緒ではないか?」と計算が早い方はパッと思いつかれたのではないでしょうか。



・浅い呼吸 :250ml×32回=8,000ml/分

・普通の呼吸:500ml×16回=8,000ml/分

・深呼吸  :1,000ml×8回=8,000ml/分



単純計算では上記のような結果になりそうなのですが、実は呼吸する度に気道に入ってくる空気は肺の中で交換されない空気「死腔」と呼ばれていまして、呼吸数が多いほど、この死腔分空気量が差し引かれていきます。1回あたりの死腔は150mlと言われているので、浅い呼吸だと「250ml-150ml=肺胞での1回あたりの換気量:100ml」、深呼吸で「1,000ml-150ml=肺胞での1回あたりの換気量:850ml」となるので、1分間の肺胞換気量(実際に体内で換気された量)は大きく差が出てしまうのです。



・浅い呼吸 :100ml×32回=3,200ml/分

・普通の呼吸:350ml×16回=5,800ml/分

・深呼吸  :850ml×8回=6,800ml/分



こうして数値にしてみると、「深呼吸ってすごい効率いいじゃないか…」と思いませんか。1分間だけの呼吸でも、これほどの換気量の差なので、これが1日だと考えると…ですね。深呼吸は意識するだけでできるといいのですが、多くの方にとっては、意識するだけでは難しく、姿勢を整えてあげる必要があります。そんな呼吸と姿勢の話は、またいつかの機会に…(気が付けばこのメルマガの文字量が多くなっていて、びっくりしています、、、)。日常生活の為になるようなことをお伝えしたくても、結局、中途半端にお伝えしきれない、そんないつものメルマガでした、、、、。


Sahanaメルマガ vol.214(2021年8月)より

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