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Column

瞑想のすゝめ

瞑想のすゝめ

記事作成日

2021年1月20日
【瞑想ってなに?】

あの有名なCEO、スティーブ・ジョブス氏も実践していたことから、普段ヨガにあまり関心がない方でも「瞑想」という言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。おそらく多くの方が「瞑想」と聞くと、座禅を組んで目を閉じる姿をイメージされるのではないでしょうか。そして、中には「瞑想とは“無”になることだ」と考えている方もいらっしゃるでしょう。

しかし実際には、初めから簡単に「無」を体験できる人は非常に少ないものです。「心を静かにしよう」「頭を空っぽにしよう」と思えば思うほど、逆に心がソワソワと落ち着かなかったり、次々と考え事が浮かんできたりする経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、「瞑想で言われる“無”とは一体何なのか?」を、なるべく分かりやすく解説していきます。すでにヨガスタジオで練習されている方にとっても、ご自身の実践をより深めるきっかけになれば幸いです。

瞑想のすゝめ
【己の外側から内側へ:アシュタンガ・ヨガ】

「ヨガ」と聞くと、「瞑想」だけでなく「さまざまなポーズ」を連想される方も多いのではないでしょうか。では、なぜヨガスタジオではポーズの練習が必要不可欠なのでしょうか?瞑想とポーズにはどのような関係があるのでしょうか?

ラージャヨガの教典『パタンジャリ・ヨーガ・スートラ』では、ヨガの修行を八段階に分けた「アシュタンガ・ヨガ」が記されています。このアシュタンガ・ヨガは大きく二部構成に分かれています。

多くの方がご存知の「アーサナ(ヨガのポーズ)」や「プラーナヤーマ(呼吸法)」は第一部に含まれ、これは外部環境に左右されないよう、身体や感覚器官を制御する技法です。


【第一部:身体の外側に働きかける技法/バヒランガ・ヨガ】

・道徳心の揺れや強い欲求に行動が左右されていませんか?
 →①ヤマ(禁戒/個人の戒律)と②ニヤマ(勧戒/集団の戒律)で行動を整える。

・体調が悪い時に集中力は持続しますか?
 →③アーサナ(ポーズ/座法)で身体を整える。

・活力に浮き沈みを感じませんか?
 →④プラーナヤーマ(生気調律/呼吸法)で体内エネルギーを調整する。

・音やニオイに気が散ったり、視覚的な刺激にイライラしませんか?
 →⑤プラティヤハーラ(感覚を閉ざす/制感法)で感覚器官を整える。

実は、ポーズを取ること自体がヨガの目的ではなく、瞑想へ向かうための準備段階だったのです。こうして見ると、身近なヨガの練習も実は修行のようなものだと感じられませんか?ヨガは意外にもシステマティックな修行体系なのです。

第一部で準備が整ったら、次はいよいよ自分の内側に意識を集中させる段階に進みます。


【第二部:身体の内側に働きかける技法/アンタランガ・ヨガ】

⑥ダーラナ(集中/凝念)
 心を一点に縛ること、つまり集中すること(PYS – 2.1)。

⑦ディヤーナ(瞑想/禅那)
 意識が途切れず対象物に集中し続けている状態(PYS – 2.2)。

⑧サマーディ(超意識/三昧)
 自己の意識を伴わず対象物が現れる状態(PYS – 2.3)。

しかし、⑥~⑧の説明だけを読んでもピンとこないですよね。僕も最初は同じでした(笑)。分かりやすく例を挙げてみましょう。

じっと座って動かずに、心の中で“A”という対象に集中します。このとき、心の中は「A-A-A-B-A-C-A-A-B-C-C-A(BやCは雑念)」といった状態になります。これが⑥ダーラナ(凝念/集中)の段階です。集中を続けるうちに次第に雑念が減り、「AAAA-AAAAA-AAA」のように安定した意識が持続する状態が⑦ディヤーナ(禅那/瞑想)です。「瞑想=無になること」ではないのです。

そして⑧サマーディ(三昧)は、「変化するもの」と「変化しないもの」を識別したり、自分の心の動きを客観的に観察したり、執着から自由になったりと、多面的で深い状態です。一言で説明するのは難しいため、詳しくはぜひスタジオや各地の講座でお伝えできればと思います。

※サンスクリット語のカタカナ表記は難しく、「⑤プラティヤハーラ」「⑦ディヤーナ」などとも表記されます。

瞑想のすゝめ
【瞑想の材料は経験や記憶の中に】

先ほど、「瞑想=無になることではない」「瞑想にはその前段階として集中(凝念)が必要」とお伝えしました。

私たちが自然に集中できる対象とは、自分自身が過去に経験したことや記憶に基づくものです。以下は、瞑想の際におすすめの題材です。

▪家族の顔をリアルに思い浮かべ、その温もりを感じる
▪過去の楽しかった体験をしている自分を客観的に見つめる
▪成功した経験を順序立てて詳細に思い起こす

実際に試してみると分かりますが、こうした題材に深く集中できたときには、気づけば3分、5分、さらには10分があっという間に経過していることも珍しくありません。

「瞑想を○分間やる!」と意気込むよりも、「ちょっと目を閉じて、自分の中に集中してみようかな」くらいの軽い気持ちで始め、集中が途切れたときに終了するほうが、気楽に瞑想を楽しめるかもしれません。

集中が深まるほど、心が穏やかになっていく感覚をきっと感じられるはずですよ。


【日常の中の瞑想:「能動的瞑想」と「受動的瞑想」】

瞑想と聞くと、多くの方は座禅を組んでじっと座る姿を思い浮かべるでしょう。しかし、瞑想は決してそれだけではありません。「瞑想はいつでも、どこでもできる」と言うのは、生活のさまざまな行動も瞑想として捉えることが可能だからです。


[能動的瞑想]
日常生活の動作を通じて行う瞑想です。歩く、話す、食べるなど、日常的な行為に深く集中し、その行為と一体になるように実践します。ヨガの伝統的な教えでは、行為を奉仕や祈りと捉える「カルマ・ヨガ(行動のヨガ)」や「バクティ・ヨガ(愛と献身のヨガ)」として知られています。

※一見すると受動的に感じる場合もありますが、一般的には動きを伴う瞑想を「能動的瞑想」としています。


[受動的瞑想]
座った姿勢で行う伝統的な静的瞑想法です。意識を呼吸や特定の対象に集中させたり、自分の内面を静かに観察したりすることで、精神の安定や心の静けさを得る方法です。

※内面的には「能動的な努力」が必要になることもありますが、伝統的には静止して行うため「受動的瞑想」と分類されています。

瞑想のすゝめ
【座法を極める「揺るぎない姿勢」】

この記事でも既に触れましたが、多くの方にとって「ヨガ=難しいポーズをとること」ではないという認識が広まりつつあります。これは日本人の価値観や感性がヨガの哲学を受け入れやすいことや、全国各地で素晴らしい先生方がヨガを伝えている背景があるからでしょう。

皆さんは今、どのような姿勢でこの記事を読んでいますか?背筋はしゃんと伸びていますか?それとも気づけば背筋が丸まってしまっていますか?リラックスしている時ほど、自分の癖が自然と出てしまうものです。実は「自然に正しい姿勢を保つ」というのは、とても難しいことなのです。

『アーサナとは、揺るぎなく安定しており、かつリラックスしている座位である』
(パタンジャリ・ヨーガ・スートラ 2-46)

パタンジャリ大師は、まずは正しい姿勢で座ることを重要視しています。さらに次のようにも述べています。

『身体の癖や性質をコントロールし、瞑想の無限の時間を通じて姿勢は揺るぎなく安定し、かつリラックスしているべきである』
(PYS 2-47)

『正しい姿勢を身につければ、好きと嫌いなどの二元性(対立するもの)の感覚に悩まされなくなる』
(PYS 2-48)

古くから日本でも「姿勢は心を表す」と言われていますね。安定した座法を長く維持すること、それだけでも立派なヨガの実践です。「毎日同じ座法を続けることこそが真の修行」とも言われています。「アーサナ」という言葉は一般に「ポーズ」と訳されますが、元々の意味は英語の "Sitting posture"、つまり「座位・座法」です。

心の安定は、まず姿勢の安定から始めてみましょう。



【快活であれ】

あなたが尊敬する人や信頼できる人は、いつもどこか快活で明るい雰囲気を持っていませんか?どんな困難に直面しても、笑って受け止めることのできる懐の深さを感じませんか?

幸福を感じる一つの指標として、「今、あなたは笑っているか、あるいは笑える状態にあるか」が挙げられます。しかし、心の奥にネガティブな感情が潜んでいると、心から笑うことは難しいでしょう。人間は幸せで楽しい時には、怒りや他者との比較などに意識が向かなくなるものです。気分が落ち込んだり、元気がないと感じる時には、「今の自分の心はどうなっているだろう?」と静かに問いかけてみてください。静かな環境でじっくり自分自身と向き合う時間が、良い気分転換になることもあります。こうした時、自然はいつも私たちの強力な味方になってくれます。

例えば、失恋した時や仕事で失敗した時に、暴飲暴食をして一時的な心の安定を求めることがあります。しかし、本当に美味しく楽しく飲食を楽しめるのは、心が穏やかな状態の時ではないでしょうか。禅の僧侶である一休さんも「ひと呼吸、ひと呼吸」と説いています。実は、下位意識(無意識)の領域は食欲や内臓の働きとも深く関係しています。自分の中にあるコンプレックスやストレスと穏やかに向き合う力を養うことは、心身ともにストレスフリーな環境を作り上げ、健康的な生活を支える大きな助けとなります。これはダイエットや食生活のコントロールにも大きな効果が期待できるでしょう。

人生にはどこで暮らしていても、心がつまずいたり、気持ちが落ち込んでしまう機会が数多くあります。そんな下向きになってしまった気持ちを上向きに切り替えるために、いつでもどこでも、たった3分でも実践可能な瞑想を生活に取り入れてみませんか。

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