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197:実はいいやつな台風

皆さま、先週の台風の影響は大丈夫でしたか。何事もなく、無事に過ごされていますか。



人命を脅かすほどの自然災害となり得る台風ですが、僕たちヒトは、その台風のネガティブな側面だけしか見ていないかもしれない…というお話です。



インド哲学では、「暴風雨は一見すると混乱や無秩序に見えるが、それもまた宇宙の大きな秩序の一部であり、自然のサイクルの一部である」ということを強調します。そうすることによって、ヒトという小さな視点よりも、“宇宙の秩序と調和”という大きな視点を意識することを説いています。



でも今回はインドの昔話をしたいわけでなく、科学的な視点に立ち返ってみましょう。実は、台風って「地球のバランスを調整する画期的な仕組み」なんですよね。



例えば、台風による強風や洪水は、古い植物を倒したり、土壌を洗い流すことで、新しい植物や動物の生育環境を作り出します。これは、生態系の再生と更新を促す自然のプロセスなんです。



そして台風は、大量の雨をもたらすため、水不足に悩む地域では貴重な水資源の補充となります。特に農業用水や飲料水の確保において、台風の降雨が重要な役割を果たすことがあるわけです。アジアの沿岸諸国では、なんと年間降水量の20~30%が台風によるものであることも。



雨や風の影響に関しては、視野をそこまで広げなくとも皆さんが日ごろから感じやすい側面かと思います。ですが、“熱”に関してはいかがでしょうか。台風って、地球の熱エネルギーを再分配する大事な働きがあるんですよ。



熱帯地域で発生した熱を、台風が高緯度地域に運ぶことで、地球全体の温度バランスを保つ役割を担っています。これにより、極端な気温差が緩和され、気候の安定化に寄与しているみたいなんです。



この台風による熱エネルギーの再分配がなければ、赤道付近の地域は暑くなりすぎて生態系が壊れ、ヒトは住めなくなるのでは…と予想されているほどです。つまり台風がいなければ、僕は南インドでヨガを学ぶことはなかったかもしれません…(南インドではサイクロンなんですけどね)。



他にも、台風による強風…どころか暴風は、大気をかき混ぜてくれたり(酸素や二酸化炭素はもちろんのこと、森に砂塵や栄養塩類などを運んでいるそうですよ)、海もかき混ぜてくれたり(栄養豊富な深海水を表層に持ち上げてくれます)、地球のバランスを調整してくれる役割が山ほどあるわけです。



もちろん、命や建造物など、自分たちで守れるものはちゃんと守る必要がありますが、「台風そのものは悪者ではないかもなあ」という側面を知っていただければ幸いです。



“破壊”って、どうしても負の側面ばかりが強調されがちですが、実は、必要な役割やポジティブな側面もたくさんあるわけですね。インド哲学と破壊の大切さについてのメルマガも、また次回にでも。



Sahanaメルマガ vol.372(2024年9月)より

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