198:斜め上の神格化
前回のメルマガは真面目な台風の話でしたので、今回はそれに関連する“ザ・インド”な話をお送りします。
ヨガやアーユルヴェーダを研究していく上で、インドの思想や哲学がとても重要になってくることはもちろんなのですが、そもそもその思想や哲学が生まれる背景に、“インド特有の地理”が関わっていることは意外とあまり注目を浴びていないんですよね。
スマホで地図アプリを表示してもらえると分かりやすいのですが(地球儀をお持ちの方ってどれくらいいらっしゃるんですかね…?)、インドは逆三角形のような形をしており、この形が文化や哲学に深く関わっていくのです。
北側の国境付近は大きな山脈に蓋をされたようになっており、そして南に行くほど先細りで海に囲まれていて、他国から陸路では入りづらい地形をしています。その上、海岸沿いは直線的で良い港が作れず(昔の話ですよ)、海路からもインドに入りづらい地形なんです。
日本のような島国ではないにも関わらず、地理的な条件で言えば、昔のインドは島国と言っても過言ではないくらい外部との交流は限定されていたわけです。つまり、インド国内特有の文化が発展するしかない土壌が、そこにはあったんですね。
文字数の制限があるので色々割愛しますが、簡単に言うと「地理的条件」と「天候的条件」という大きな土台の上に、「民族性」「宗教性」「文化」がどんどん形成されていったんですね。
日本でもそうだったように、インドでも大昔から自然が豊かさをもたらしてくれるだけでなく、度々猛威をふるっていたわけです。なので、感謝の対象であると同時に、畏敬の念を持っていた自然が神格化されていくのは当たり前だったのかもしれませんが…、ところどころ斬新すぎる神格化があるのが、インド思想の面白いところです。
古代インドでは暴風雨も神格化されておりまして、ルドラって名前の神様だったんです。そのルドラさん、今ではシヴァ神の昔の名前ってことになっているんですけども。
シヴァは三大神の一人で「破壊の神様」でして、他に「創造の神様ブラフマー」と「維持の神様ヴィシュヌ」がいます。
ある日、創造の神様ブラフマーが光とともに現われてこの世界を作るんですけども、なぜか既にそこには維持の神様ヴィシュヌが海の上をぷかぷか漂っていたんです。
そうすると、”どっちが先に世界を創造したのか”で二人が喧嘩を始めるんですよ。その喧嘩の最中、まばゆい光とともに大きなおちんちんが現れるんです。どれくらい大きいかって、下は地下深く潜っても始まりが見つけられず、上は天のその先まで長く伸びていて終わりが分からなかったそうで。
そして、その大きなおちんちんがパカッと割れてシヴァ神が登場して「我らは元は一つの神であった」って告げるという、発想がとんでもない話が本当にあるんですよ(シヴァ信仰の経典なんですけどね、そしてこのモニュメントは有名なアシュラムでも普通にどころか神聖なものとして置かれています)。
この話のせいで、暴風雨が来ると「神様って自由だなあ 」と思ってしまうわけです…
Sahanaメルマガ vol.373(2024年9月)より