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継続的なヨガ実践が睡眠障害に与える影響:最新スコーピングレビュー

継続的なヨガ実践が睡眠障害に与える影響:最新スコーピングレビュー
記事作成日
2025年8月21日

夜、布団に入っても眠れない。ようやく眠れても、何度も目が覚めてしまう。そんな経験を持つ人は少なくないですよね。薬に頼らざるを得ないこともありますが、「できることなら自然な方法で眠りを取り戻したい」と願う方に、今回の研究はとても示唆的です。

この論文は、過去20年間に行われた57の研究をまとめ、ヨガが睡眠の質にどのような影響を与えるのかを調べたスコーピングレビューです。その結論はとてもシンプルで力強いものでした。「ヨガは睡眠を改善する」ということです。

注目すべきは、効果がどのくらいの期間で現れるかという点です。6週間以内の短い実践でも改善は見られましたが、やはり7週間以上、そしてできれば17週間以上続けた人たちが、最も安定した効果を得ていました。つまり、ヨガは“続けるほどに効いてくる”実践なんですね。

また頻度についても面白い発見があります。週1〜2回でも十分効果がありますが、週3〜4回行うとバランス良く、眠りの質が向上していました。反対に週5回以上行った人たちも良い結果を得ていましたが、その分データ数は少なく、今後の検証が必要とされています。

なぜヨガが睡眠に効くのか。研究者たちはいくつかのメカニズムを指摘しています。呼吸法によって自律神経が整えられ、ストレスホルモンが下がること。炎症が軽減され、神経伝達物質のバランスが整うこと。瞑想やマインドフルネスによって、不安や反芻思考が和らぎ、心が静まっていくこと。こうした心身の変化が重なり合って、結果として眠りの質が深まっていくのです。

僕自身の実感としても、ヨガは眠りの「質」を変える力を持っています。単に「寝つきが良くなる」ということだけでなく、「眠りそのものが心地よくなる」。眠りが「回復の時間」として機能し始めるのです。これは薬では得られない大きな恩恵でしょう。

この論文をおすすめするのは、薬に頼らずに眠りを改善したいと願う人、そしてヨガの可能性を科学的に知りたい人です。ヨガは決して“神秘的な儀式”ではなく、科学的に裏づけのあるセルフケアの方法です。しかも、副作用はほとんどなく、安全に取り組むことができます。

夜の眠りが変わると、翌日の気分や集中力、体調までも変わっていきます。ヨガはその入り口を静かに開いてくれる存在になるかもしれません。

 下記、研究の要約まとめです。

The effect of chronic yoga interventions on sleep quality in people with sleep disorders: a scoping review

Alghosi Mohammad , Sharifi Maryam , Namavari Sanam , Rajamand Neda , Bamorovat Faezeh , Norouzi Narges , Alimoradi Mohammad , Konrad Andreas
Frontiers in Neurology Volume 16 - 2025
DOI=10.3389/fneur.2025.1566445
ISSN=1664-2295

【タイトル】
睡眠障害を持つ人々における慢性的なヨガ介入の睡眠の質への影響:スコーピングレビュー


【背景】
不眠や睡眠障害は世界的に増加し、生活の質を大きく損なっています。薬物療法は一般的に用いられていますが、副作用や依存性などの問題から長期使用は推奨されていません。そのため、非薬物療法としてのヨガの効果が注目されています。しかし、これまでの研究は限定的であり、体系的な整理が必要とされていました。


【睡眠障害(sleep problem syndrome)について】
睡眠障害は、寝つきの悪さ、中途覚醒、早朝覚醒、全体的な睡眠の質の低下を特徴とします。世界人口の約30%が何らかの睡眠障害を経験しており、高齢者では20〜30%にまで上昇するとも言われています。


【ヨガについて】
ヨガは古代インドに起源を持ち、身体の柔軟性・筋力強化・呼吸法・瞑想を組み合わせた総合的な実践法です。現代では特に「アーサナ(姿勢)」「プラーナーヤーマ(呼吸法)」「ディヤーナ(瞑想)」が重視され、心身の調整法として世界的に普及しています。


【睡眠障害とヨガの関係について】
ヨガは、睡眠の質を高める要素と深く関連しています。具体的には、呼吸法による自律神経の調整、瞑想による心の静まり、アーサナによる身体の弛緩などが相互作用し、睡眠障害の軽減に寄与します。また、メラトニン分泌の増加やストレスホルモンの低下といった生理的変化も確認されています。


【方法】
著者らはPubMed、Web of Science、Scopusを用いて系統的に論文を検索し、2004〜2024年に発表された57本の研究をレビューしました。対象は睡眠障害を持つ人々で、ヨガのみを介入とした研究が抽出されました。


【結果】
短期(6週間以内)のヨガでも睡眠の質に有意な改善が見られましたが、最も効果が安定していたのは中期(7〜16週間)と長期(17週間以上)の介入でした。長期介入では、すべての研究で睡眠の質が有意に改善されました。また、週1〜2回の実践でも効果はありましたが、週3〜4回が最もバランス良く効果を示し、高頻度(週5回以上)では効果は大きいもののデータは限られていました。


【考察】
ヨガは睡眠の質を改善する非薬物療法として有望であり、持続的に行うほど効果が高まることが示されました。そのメカニズムは、自律神経の調整、ストレスホルモンの減少、炎症マーカーの低下、GABAやドーパミンといった神経伝達物質の増加など、多方面に及んでいます。また、マインドフルネスの向上により心の静けさが得られ、睡眠障害の心理的要因も和らげられると考えられます。


【結論】
ヨガは安全で効果的な非薬物的アプローチであり、睡眠障害を持つ人々にとって薬物療法の代替、あるいは補完的手段として有効であることが確認されました。今後は対象集団ごとに最適なヨガの頻度・期間を明らかにする研究が求められます

引用文献は下記よりご覧下さい.

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