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心と体をつなぐ研究地図 ─ ヨガと精神神経免疫学の20年の歩み

心と体をつなぐ研究地図 ─ ヨガと精神神経免疫学の20年の歩み
記事作成日
2025年9月5日

この論文を読んでいると、「心と体はひとつ」という感覚が、ただの比喩ではなく、科学的に説明される時代に入っているのだと実感します。

1970年代に生まれた精神神経免疫学(PNI)は、ストレスが免疫系にどう影響するかを探る学問でしたが、そこにヨガが重なったことで、研究は一気に広がりを見せました。20年分の論文を集めて分析したこの研究は、ヨガとPNIの出会いがどのように世界で受け止められ、発展してきたかを俯瞰できる地図のようなものなんです。

たとえば、アメリカやカナダは研究数も多く、著名な研究者たちが「ヨガは免疫や脳にどう働くのか」を徹底的に調べています。一方で、ヨガ発祥の地であるインドは、論文数や影響力の面ではまだ控えめで、むしろ国際共同研究としての存在感が大きいのが現状です。この点は少し意外ですが、逆にいえば今後の成長余地が大きいということでもあるんですね。

研究の流れを見ていると、初期は「ヨガをすると気持ちが落ち着く」といった心理的な変化に注目していました。それが次第に「免疫細胞の数が変わる」「炎症マーカーが下がる」といった具体的な数値へと進み、今では「神経可塑性」という脳の柔軟さにまで議論が及んでいます。つまり、ヨガは単なるリラクゼーションの手法ではなく、脳と免疫をつなぐ橋渡しとして科学的に認められ始めているんです。

個人的に面白いと感じたのは、キーワード分析で「心拍変動」「コルチゾール」「サイトカイン」といった生理的指標が頻出していることです。ヨガの効果を「自分の感じ方」だけではなく、「身体の中の変化」として記録しようとする姿勢が、科学としての強さを増しているのだと思います。

そして忘れてはならないのは、COVID-19の時期に研究が一気に加速したことです。外出制限があっても、オンラインでのヨガ指導が免疫やメンタルヘルスに良い効果をもたらした、という報告が次々と出ています。これにより、「どこにいても心身を整えられる」というヨガの可能性が証明されたのです。

この論文をおすすめするとしたら、「ヨガはなぜ効くのか?」という問いを科学的に理解したい人にぴったりです。単なる体験談ではなく、20年分の研究成果を一望することで、ヨガを取り巻く科学的背景と未来の展望がわかります。研究者にとっては今後の課題や方向性を整理する材料になりますし、実践者にとっては「自分がしているヨガには、こんな根拠があるんだ」と納得するきっかけになるでしょう。

 下記、研究の要約まとめです。

Mapping the Mind-Body Connections: A Two-decade Bibliometric Exploration of Yoga and Psychoneuroimmunology

1. Dhanasekar H, Mathangi DC. Mapping the Mind–Body Connections: A Two-decade Bibliometric Exploration of Yoga and Psychoneuroimmunology. Annals of Neurosciences. 2025;0(0). doi:10.1177/09727531251341099

【タイトル】
心身のつながりをマッピングする:ヨガと精神神経免疫学に関する20年間の計量書誌的探究


【背景】
精神神経免疫学(PNI)は、脳・神経・内分泌・免疫系の相互作用を解明する学問で、1970年代以降に確立されました。近年、この分野にヨガ研究が交わることで、「心身相関」を科学的に裏付ける試みが急速に広がっています。本研究は2003年から2023年の20年間に発表された世界の論文を計量書誌学的に分析し、ヨガとPNIの研究動向、著者・国・雑誌の影響力、研究の空白領域や将来の方向性を明らかにしています。


【精神神経免疫学(PNI)について】
PNIは「ストレスが免疫や行動に影響する仕組み」を解き明かす学問であり、うつ病・自己免疫疾患・がんなどの理解や治療に応用されています。ヨガはPNIが示す「脳―免疫―ホルモンのネットワーク」に作用し、ストレス緩和や免疫調整の有効な手段とされています 。


【ニューロプラスティシティ(神経可塑性)について】
ヨガや瞑想は脳の可塑性を高め、情動調整や注意力、自覚の力を養うことが報告されています。脳画像研究では、ヨガによってストレス応答や免疫機能をつなぐ神経回路の変化が確認されています 。


【精神神経免疫学とニューロプラスティシティ、ヨガの関係について】
主要キーワードには「マインドフルネス」「炎症」「サイトカイン」「心拍変動」「免疫」「抑うつ」「不安」などがあり、いずれもヨガ実践と深く関わっています。ヨガはストレス反応を和らげ、自律神経や免疫機能を安定させることで、慢性疾患やメンタルヘルスの改善に役立つことが示唆されています 。


【方法】
Scopusデータベースから2003〜2023年に発表された論文を検索し、最終的に2,151件を抽出。Biblioshiny(R-studio)、VOSviewer、Excelなどを用いて出版数の推移、主要雑誌、著者、国際共同研究ネットワーク、キーワードの出現頻度やテーマの変遷を可視化しました。


【結果】
研究数は2003年には50本未満でしたが、2021年には200本を超えるまでに増加しました。特にCOVID-19以降は「免疫・ストレス・ヨガ」の研究が急増しました。国別ではアメリカが最多で、次いでカナダ、イギリス、オーストラリア、インド。インドはヨガ発祥地でありながら5位に留まっています。著者ではカナダのCarlsonや米国のDavidsonらが多く引用され、インドのNagendraも主要な研究者の一人として挙げられています 。


【考察】
ヨガとPNIの研究は初期の探索的段階から、現在では「免疫マーカー」「神経可塑性」「大規模臨床試験」へと進化しています。ストレスや炎症に焦点を当てた研究が多く、今後は「心拍変動やコルチゾールなどの生理指標」と「心理的アウトカム」を統合する研究が重要とされています。また、インドの研究基盤がまだ十分に強化されていない点が課題として指摘されました 。


【結論】
ヨガとPNIの研究は急成長を遂げ、統合医療の中で有望な役割を担いつつあります。今後は標準化と大規模試験を進め、古代の知恵と現代科学を架橋することで、ヨガを「科学的に裏付けられた心身療法」として広めていくことが期待されます 。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

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