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ヨガとアーユルヴェーダが不眠症に与える効果の比較研究 ─ ストレス・睡眠・認知・生活の質への影響

ヨガとアーユルヴェーダが不眠症に与える効果の比較研究 ─ ストレス・睡眠・認知・生活の質への影響
記事作成日
2025年8月4日

不眠って、ただ「寝つけない」「眠りが浅い」というだけの話ではないんですよね。

眠れない夜が続くと、次第に日中の集中力が落ちたり、ちょっとしたことでイライラしたり。さらに心のバランスまで崩れていって、「自分らしくないな…」という感覚がどんどん積もっていきます。

この研究では、そんな不眠の悩みに対して、「ヨガとアーユルヴェーダがどれほど効果をもたらすのか」を科学的に比較しています。

方法はとても丁寧で、120名の不眠症の方を3グループに分けて:
①ヨガグループ
②アーユルヴェーダグループ(鼻からオイルを垂らすナッシャ療法)
③通常治療グループ
それぞれに48日間の実践を行ってもらい、ストレス、睡眠の質、認知機能、生活の質を比較したものです。

結果は明確でした。
ヨガを行ったグループでは、睡眠の質も、ストレスも、認知力も、生活の満足度も、すべてが大きく改善していたのです。次に改善が見られたのがアーユルヴェーダ。そして一番変化が少なかったのが通常治療群でした。

この研究で素晴らしいのは、「日常生活の中で自分でも実践できる方法」が効果を発揮しているという点ではないでしょうか。いわゆる“ヨガっぽい”難しいポーズを取らなくても、丁寧に呼吸を整え、心を観る時間を持つだけで、心と身体が少しずつ変わっていくのです。

さらに印象的だったのは、「朝にヨガをすることで、夜の副交感神経が優位になり、より深い眠りに入りやすくなる」という神経科学的なメカニズムまで示唆されていたことです。

だからこそ、この論文は「眠れない夜がつらい」という方や、「睡眠薬に頼る以外の方法を探している」という方に、ぜひ読んでもらいたいものです。

ヨガは、ただの運動ではありません。自分の中にある静けさを取り戻し、日々のストレスに揺さぶられない芯を育ててくれる実践なのです。

 下記、研究の要約まとめです。

Comparative impact of yoga and ayurveda practice in insomnia: A randomized controlled trial

Verma, Kanika; Singh, Deepeshwar; Srivastava, Alok1. Comparative impact of yoga and ayurveda practice in insomnia: A randomized controlled trial. Journal of Education and Health Promotion 12(1):160, May 2023. | DOI: 10.4103/jehp.jehp_1489_22

【タイトル】
不眠症に対するヨガとアーユルヴェーダ実践の比較効果:ランダム化比較試験


【背景】
不眠症は精神的・身体的な健康に大きな悪影響を与え、特にストレスや認知機能の低下、生活の質の低下と深く関わっています。臨床の現場では、こうした不調に対して、心身へのアプローチを含むヨガ的な療法が有効だとされてきました。またアーユルヴェーダでも「睡眠」は健康の3本柱のひとつとされ、その管理法が詳しく記されています。本研究では、ヨガとアーユルヴェーダ(ナスヤカルマ)が不眠症にどのような効果を持つのかを比較検討しています。


【ヨガとアーユルヴェーダについて】
ヨガは身体の動き、呼吸、リラクゼーション、瞑想、哲学的な理解を統合した包括的な実践法です。一方、アーユルヴェーダでは「ナスヤ」(鼻腔に薬用オイルを滴下する療法)が用いられ、心身のバランスを整える効果が期待されています。特に今回は、バコパモニエリという鎮静作用のあるハーブオイルが使われました。


【不眠症について】
不眠症は、「眠る時間があるのに眠れない」「途中で目が覚める」「早朝に起きてしまう」といった症状を伴い、日中の集中力低下や情緒不安定、疲労感を引き起こします。人口の5〜15%が該当し、慢性化する例も多くあります。


【ヨガとアーユルヴェーダ、不眠症との関係性とは?】
不眠はストレスや神経の過活動と密接に関わっており、それらを鎮めるヨガやアーユルヴェーダは理論的に効果的とされます。ヨガは副交感神経を活性化し、睡眠の質を高めることが知られています。アーユルヴェーダは体質(ドーシャ)のバランスを整えることで睡眠の質を改善するとされます。


【方法】
この研究は、18〜45歳の不眠症の成人120名を対象に、3つのグループ(ヨガ、アーユルヴェーダ、通常治療)にランダムに割り当て、48日間の介入を行ったランダム化比較試験です。評価には睡眠の質(PSQI)、ストレス(PSS)、認知失敗(CFQ)、生活の質(WHOQOL-BREF)が用いられました。


【結果】
112名のデータが解析対象となり、次のような結果が得られました。

ストレスの低下:
ヨガ群が最も大きく改善(PSSスコア:11.73)、次いでアーユルヴェーダ群(16.51)、対照群(17.91)。

睡眠の質:
ヨガ群が最も改善(PSQIスコア:4.63)、アーユルヴェーダ群(9.18)、対照群(11.86)。

生活の質:
5つの領域すべて(身体的・心理的・社会的・環境的・全体的健康)で、ヨガ群が最も改善。

認知機能:
忘れやすさ、注意力散漫、誤反応といった項目すべてでヨガ群が最も改善 。


【考察】
ヨガは、自律神経バランスを整え、副交感神経を活性化することで睡眠とストレスに効果を発揮します。朝のヨガは夜の睡眠を深め、心身の再構築を促します。また、認知機能や生活の質の向上も、ヨガの一貫した実践による恩恵と考えられます。アーユルヴェーダ(特にナッシャ療法:鼻腔に対する療法)も一定の改善効果を示しましたが、ヨガの方がより高い改善度を示しました。


【結論】
ヨガは不眠症の改善において非常に有効であり、ストレスの緩和、睡眠の質向上、認知機能の改善、生活の質の向上において顕著な効果が見られました。アーユルヴェーダも有用ですが、総合的にはヨガの方が効果が高いと示唆されています 。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

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