top of page
studio Sahana logo ヨーガ ヨガ ヨガスタジオ ヨガセラピー
Study

がん患者のためのオンライン・マインドボディ介入──COVID-19下での迅速な導入と利用状況、満足度

がん患者のためのオンライン・マインドボディ介入──COVID-19下での迅速な導入と利用状況、満足度
記事作成日
2021年3月26日

がんの治療を続けながら、このコロナ禍を過ごすというのは、心にも体にも大きな負担です。治療の副作用や先の見えない不安、それに加えて「外に出てはいけない」という制約が重なれば、気持ちも塞ぎがちになります。そんなときに、病院がオンラインでヨガやフィットネス、瞑想などのクラスを無料で提供したら──。

この研究は、まさにその取り組みを評価したものです。ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターでは、2020年春、患者ポータルに登録している18歳以上のがん患者さんを対象に、Zoomを使ってマインドボディセッションを始めました。クラスは30〜45分、自宅からカメラもマイクもオフのままで参加できるから、プライバシーも守られます。内容はフィットネス、瞑想、ヨガ、音楽、ダンス、太極拳など。

約2か月の間に、のべ5,948回の参加がありました。特に人気だったのはフィットネス(全体の42.2%)、次いで瞑想(19.8%)、ヨガ(15.3%)。アンケートに答えた人の95%以上が「非常に満足」と答え、8割以上が「ストレスや不安がとても減った」と感じています。そして9割以上が「他の人にも強く勧めたい」と答えたのです。

面白いのは、フィットネスや音楽の満足度が特に高かったこと。外出制限やジムの閉鎖で体を動かす場が減っていた時期に、オンラインで体をしっかり動かせるフィットネスが重宝されたのでしょう。一方、瞑想やヨガは、呼吸を整え、心を落ち着ける時間として役立ったはずです。

チャット欄には「感謝します」「この時間が心の支えになっています」という声や、「自宅で安全にできるのが嬉しい」「画面越しでもつながりを感じる」といったコメントが多く寄せられました。

もちろん、この取り組みには改善の余地もあります。今回の参加者は都市部で比較的IT環境が整っている人が多く、地方や高齢者などアクセスに課題がある層への広がりはこれからの課題です。また、今回は一方向の配信でしたが、将来的には双方向の交流を取り入れれば、孤立感を減らす効果が期待できます。

それでも、この短期間でこれだけの参加と満足度を得られたことは、オンラインのマインドボディサービスががんケアにおいて有効である強い証拠です。通院や移動が難しいときでも、自宅から安全に参加でき、体と心の両方をケアできる──これは今後の医療の新しいスタンダードの一つになっていくかもしれません。

 下記、研究の要約まとめです。

Rapid deployment of virtual mind-body interventions during the COVID-19 outbreak: feasibility, acceptability, and implications for future care

Trevino, K.M., Raghunathan, N., Latte-Naor, S. et al. Rapid deployment of virtual mind-body interventions during the COVID-19 outbreak: feasibility, acceptability, and implications for future care. Support Care Cancer 29, 543–546 (2021). https://doi.org/10.1007/s00520-020-05740-2

【タイトル】
COVID-19流行下におけるオンライン・マインドボディ介入の迅速な展開:実現可能性、受容性、今後のケアへの示唆


【背景】
COVID-19の世界的流行は、多くの人々の生活や心理状態に深刻な影響を与えました。がん患者は感染症への脆弱性が高く、診断や治療の遅れ、サポートネットワークの縮小などにより、特に強い不安やストレスにさらされます。従来の対面型マインドボディサービスは感染リスクから提供が困難となり、遠隔・オンラインでのサービス提供が急務となりました。本研究は、がん患者を対象に、Zoomを用いたマインドボディグループセッションを迅速に導入し、その参加率と患者満足度を評価したものです。


【オンラインサービスについて】
提供されたオンラインサービスは、フィットネス、瞑想、ヨガ、ダンス、太極拳、音楽といった多様なマインドボディ・グループセッションです。各回は30〜45分で、患者は病院のオンラインポータル経由で登録し、自宅からZoomで参加します。プライバシー保護のため、参加者の音声や映像はオフに設定されました。こうした形態は、感染リスクを避けつつ、通院や移動の負担を減らし、治療中でも安全に利用できる環境を提供します。


【ヨガとフィットネスの違いとは?】
フィットネスは主に筋力・持久力・柔軟性を高める身体的運動が中心で、運動不足解消や体力維持に直結します。一方、ヨガはアーサナ(ポーズ)、呼吸法、瞑想を組み合わせ、身体機能だけでなく心の静けさやストレス低減を目的とする点が特徴です。本研究では両者がオンラインで提供され、利用率や満足度の違いも比較されました。


【方法】
2020年4月1日から5月31日にかけ、米国メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの患者ポータルに登録している18歳以上のがん患者を対象に、無料のZoomセッションを提供しました。参加者は各回終了後、満足度、ストレス・不安の軽減度、他者への推奨意向を5段階で評価するアンケートに回答しました。


【結果】
全体で5,948回の参加が記録され、最も多かったのはフィットネス(42.2%)、次いで瞑想(19.8%)、ヨガ(15.3%)でした。回答者の95.7%が「非常に満足」と答え、83.8%が「ストレス・不安が大きく軽減した」と感じ、92.4%が「他者に強く勧めたい」と回答しました。満足度や推奨意向はフィットネスと音楽で特に高く、チャットコメントからは感謝、安全性、自宅からの利便性、そしてオンラインでも感じられるつながりが多く寄せられました。


【考察】
オンラインでのマインドボディサービスは、感染症流行下の緊急対応だけでなく、平時でもがん患者のアクセス改善に大きな可能性を示しました。特に通院の困難さや感染リスクのある免疫抑制状態では、オンライン形式は有効です。今後は患者同士や指導者との交流機会を加え、孤立感の軽減を目指すことが望まれます。また、都市部以外や高齢者など、デジタルアクセスに制限がある層への適応も課題です。


【結論】
COVID-19下で迅速に導入されたオンライン・マインドボディ介入は、がん患者にとって高い利用率と満足度を示し、ストレス・不安の軽減にも有効でした。遠隔提供は、治療中や免疫低下時の安全な選択肢として、今後のがんケアにおいて持続的に活用できる可能性があります。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

Copyright ©2018-2025 studio Sahana All Rights Reserved.

studio Sahanaのロゴです「Sahana」というサンスクリット語は「静かなる力強さ」を意味します

〒231-0023

神奈川県​横浜市中区山下町​​112-3

ポートタワー山下町902

 

E-mail: info@studio-sahana.com

 

​​​​​

bottom of page