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Study

運動習慣のない中高年におけるヨガの身体機能・呼吸機能改善効果

運動習慣のない中高年におけるヨガの身体機能・呼吸機能改善効果
記事作成日
2021年1月21日

中高年になってくると、「息が上がりやすくなった」「体が硬くなった」と感じることはありませんか。運動不足が続くと、筋力や柔軟性だけでなく、呼吸の力まで落ちてしまいます。今回紹介する研究は、そんな方にぴったりな朗報です。

対象は運動習慣のない40〜60歳の男女。彼らが8週間、週1回のヨガレッスンを受けるというシンプルなプログラムを行いました。しかも2つのグループに分けて、一方はアーサナ(ヨガのポーズ)のみ、もう一方はアーサナに加えて呼吸法(プラーナーヤーマ)も実践しました。呼吸法には、深くゆっくりした呼吸や息止め、腹部を引き込むウディヤーナ・バンダ、力強い呼気を繰り返すカパーラバーティなどが含まれています。

結果はどちらのグループも嬉しい改善がたくさん。椅子からの立ち座り回数が増え、上半身の柔軟性も向上し、肺活量や呼吸のスムーズさも良くなりました。これは、ポーズをとることで関節の動きが広がり、筋肉がしなやかになり、横隔膜もよく動くようになったからです。

しかし、呼吸法を組み合わせたグループには、さらに特別な変化がありました。それは「吸う力」と「下半身の柔らかさ」が大きく伸びたこと。吸う力、つまり最大吸気圧が上がると、運動中に息切れしにくくなり、体全体への酸素供給もスムーズになります。下半身の柔軟性が高まれば、歩く・しゃがむ・立ち上がるといった動作が楽になります。

面白いのは、このプログラムが週1回・たった70分という少ない頻度でも効果が出たことです。もちろん、もっと長期間・高頻度で続ければ、さらに大きな成果が期待できるでしょう。

この研究が教えてくれるのは、「ヨガは体を柔らかくするだけじゃない」ということ。呼吸の力、動作の安定性、そして日常生活の快適さを底上げしてくれる総合的なトレーニングです。特に呼吸法を加えれば、体の芯から元気になるような変化が起こります。

運動不足を感じている方、ジムに通うのはハードルが高いという方でも、自宅で始められるのがヨガの良いところです。まずは週1回、基本のポーズと呼吸法から取り入れてみませんか。8週間後、あなたの体と息の軽さに、きっと驚くはずです。

 下記、研究の要約まとめです。

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Yamamoto-Morimoto, Kuniko; Horibe, Shuji; Takao, Rikio; Anami, Kunihiko. Positive Effects of Yoga on Physical and Respiratory Functions in Healthy Inactive Middle-Aged People. International Journal of Yoga 12(1):p 62-67, Jan–Apr 2019. | DOI: 10.4103/ijoy.IJOY_10_18

【タイトル(日本語の直訳)】
健康で運動習慣のない中高年者における身体機能および呼吸機能に対するヨガの肯定的効果


【背景】
ヨガは古代インド発祥の心身鍛錬法で、現代では健康増進や体力維持、リラクゼーションの手段として広く実践されています。ヨガは主にアーサナ(姿勢)、プラーナーヤーマ(呼吸法)、瞑想から構成され、その中でもアーサナはストレッチや筋力強化と類似した要素を持ち、身体機能改善に役立つとされています。一方、プラーナーヤーマは呼吸筋を意識的に使う訓練で、呼吸機能への効果が期待されます。しかし、アーサナ単独とプラーナーヤーマを組み合わせた場合の効果の違いについては十分な検証がなされていませんでした。


【身体機能について】
身体機能は筋力、柔軟性、持久力、バランス能力などで構成されます。本研究では、椅子立ち上がりテスト(30秒間に何回立ち座りできるか)、上肢柔軟性(背中握手テスト)、下肢柔軟性(椅子座位体前屈テスト)で評価しました。これらのテストは日常生活動作能力や姿勢安定性に直結する指標です。


【呼吸機能について】
呼吸機能は肺活量(VC)、努力肺活量(FVC)、1秒量(FEV)、最大吸気圧(Pimax)などで測定されます。特にPimaxは吸気筋力の指標であり、呼吸のしやすさや運動持久力に深く関わります。プラーナーヤーマは横隔膜を大きく動かし、呼吸筋群を鍛えるため、この指標の改善に寄与すると考えられます。


【方法】
対象は40〜60歳の非喫煙・健康な男女28名(男性2名、女性26名、平均年齢52.7歳)。ヨガ経験が長期にある者、下肢手術歴、心肺疾患歴のある者は除外しました。参加者をアーサナのみのグループ(YA)と、アーサナ+プラーナーヤーマ併用グループ(YAP)に分け、週1回70分のレッスンを8週間実施。両群とも自宅練習用DVDを用いて週2回以上の自主練習を推奨しました。YAP群では、アーサナに加え、1:1や1:2の呼吸パターン、深く遅い呼吸、息止め(クンバカ)、カパーラバーティ、ウディヤーナ・バンダなどを行いました。


【結果】
8週間後、両群ともに椅子立ち上がり回数と心拍数、上肢柔軟性、全般的な呼吸機能(VC、FVC、FEV、最大呼気流量)が有意に改善しました。
一方、下肢柔軟性(椅子座位体前屈)と最大吸気圧(Pimax)の改善はYAP群のみに見られました。最大呼気圧(Pemax)やピーク吸気・呼気圧には有意な変化はありませんでした。


【考察】
アーサナのみでも、関節可動域や筋力の向上により身体機能と呼吸機能の改善が得られました。特に、アーサナによる多方向の関節運動や横隔膜のストレッチは、胸腔と腹腔の拡張性、体幹安定性、呼吸筋活動を高めます。
しかし、プラーナーヤーマを組み合わせた場合は、吸気筋力と下肢柔軟性の改善が加わりました。吸気筋の強化は、筋持久力向上や末梢筋への血流改善、息苦しさの軽減につながります。よって、呼吸法を含むヨガは、運動習慣のない中高年にとって、より包括的な体力向上法となり得ます。


【結論】
週1回70分・8週間のヨガは、運動習慣のない中高年者の身体機能と呼吸機能を改善します。さらにプラーナーヤーマを組み合わせることで、吸気筋力と全身柔軟性の向上という追加効果が得られます。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

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