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ヨガは甲状腺機能低下症によるうつ症状を改善できるのか

ヨガは甲状腺機能低下症によるうつ症状を改善できるのか
記事作成日
2021年12月3日

甲状腺って、首の前にある小さな器官ですが、全身のエネルギーや代謝をコントロールしている、とても大事な存在なんですね。ところが、この甲状腺が元気をなくす「甲状腺機能低下症」になると、体がだるくなったり、体重が増えたり、むくみが出たり…と、日常にじわじわと不調が忍び寄ります。そして意外なことに、この病気と“心の落ち込み”は深くつながっているのです。

実際、甲状腺機能低下症の方は、そうでない人よりもうつ症状を抱える割合が高く、両者の症状が悪循環を生むことも少なくありません。薬で甲状腺ホルモンを補えば、機能は改善しますが、心の落ち込みは完全には晴れない…そんなケースもあります。そこで注目されたのが「ヨガ」です。

この研究では、インド・ケーララ州で20〜50歳の女性38人を対象に、3か月間、週5日、1日60分のヨガプログラムを行いました。内容は、後屈や胸を開くポーズ、呼吸法、瞑想などを組み合わせた統合的なもの。参加者は全員、甲状腺機能低下症と軽度〜中等度のうつ症状を持っていました。薬の量は変えずに、生活の中にヨガを取り入れたのです。

結果は驚くべきものでした。3か月後、うつスコアは半分以上改善し、甲状腺を刺激するホルモン(TSH)の値も大きく下がりました。さらに、体重や脂質の数値も改善。HDL(善玉コレステロール)は増え、総コレステロールやLDL(悪玉)は減少。疲労感や不安、ストレスも軒並み下がっていたのです。薬の必要量も減っていました。

なぜこんな効果が出たのか。ヨガは自律神経を整え、ストレス反応を鎮める働きがあります。また、呼吸法やポーズによる適度な運動が血流を促し、代謝やホルモンのバランスに良い影響を与えます。さらに、瞑想やマントラの響きが、脳内の神経伝達物質やBDNF(脳由来神経栄養因子)を整えることも関係していると考えられます。

この研究は規模も小さく、対照群もないため「決定的な証拠」にはまだなりません。でも、参加者の9割以上がほぼ全てのセッションに参加しており、日常生活の中に無理なく取り入れられる方法としての現実性も高いことが示されました。

もし、甲状腺機能低下症による心身の不調に悩んでいて、「薬以外のサポートも欲しい」と感じている方がいたら、この論文はぜひ目を通してほしいものです。ヨガは、副作用がほとんどなく、日常生活の質を上げるための心強い味方になってくれるはずです。

 下記、研究の要約まとめです。

Effect of yoga on depression in hypothyroidism: A pilot study

S. Rani, Satyapriya Maharana, Kashinath G. Metri, Hemant Bhargav, R. Nagaratna,
Effect of yoga on depression in hypothyroidism: A pilot study,
Journal of Traditional and Complementary Medicine,
Volume 11, Issue 4, 2021, Pages 375-380, ISSN 2225-4110,
https://doi.org/10.1016/j.jtcme.2021.01.001.

【タイトル】
甲状腺機能低下症におけるうつ病へのヨガの効果:パイロットスタディ


【背景】
甲状腺機能低下症は女性に多く、特にインドでは女性の約15.8%が発症しています。この疾患は不妊や月経異常、心血管疾患、糖尿病など多くの健康問題を引き起こすほか、うつ症状との関連が深いことが知られています。既存治療であるチロキシン服薬は甲状腺機能を改善しますが、うつ症状は完全には解消されないことも多く、補完代替療法としてヨガの有効性が注目されています。


【甲状腺について】
甲状腺は首の前側に位置する小さな内分泌腺で、代謝やエネルギー消費を調節するホルモン(T3・T4)を分泌します。これらのホルモンは脳や神経系、心臓、筋肉、消化器など全身の機能に関わっています。


【甲状腺機能低下症について】
甲状腺が十分なホルモンを作れなくなる状態で、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が上昇します。症状には倦怠感、体重増加、むくみ、便秘、抑うつ、記憶力低下などがあり、慢性的に進行することが多いです。


【うつ症状との関係性とは?】
甲状腺機能低下症では、ホルモンバランスの乱れや自己免疫反応(TPO抗体の上昇)が脳の神経伝達物質に影響し、うつ症状を引き起こすことがあります。甲状腺疾患患者は健常者よりもうつ病のリスクが高く、双方の症状が悪循環を形成します。


【方法】
本研究は単群の事前事後比較デザインで行われました。インド・ケーララ州カリカットで、20〜50歳の女性38名(全員が甲状腺機能低下症かつ軽度〜中等度のうつ症状あり)を対象に、3か月間の統合ヨガプログラム(3-IY)を実施しました。内容はアーサナ(後屈・胸を開くポーズを多く含む)、プラーナヤーマ(右鼻呼吸、ウジャイ呼吸など)、リラクゼーション、瞑想(太陽瞑想、ガーヤトリーマントラ)で、週5日、1日60分行いました。チロキシンの投薬量は期間中固定しました。測定項目はうつ症状、TSH、BMI、脂質プロファイル、不安、疲労、ストレスです。


【結果】
3か月後、参加者のうつスコアは平均58%減少し、TSHは37%減少しました。BMIは6%減少、疲労64%減、不安57%減、ストレス55%減と大幅な改善が見られました。脂質プロファイルでは総コレステロール、LDL、VLDL、中性脂肪が低下し、HDLは15%増加しました。チロキシン必要量も23.5%減少しました。


【考察】
ヨガは甲状腺機能低下症に伴ううつ症状の改善だけでなく、甲状腺機能、代謝、脂質異常の改善にも寄与する可能性が示されました。これは、ヨガによる自律神経調整、HPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)の安定化、炎症低減、GABAやBDNFの増加が関与していると考えられます。さらに、うつ症状が改善することで活動性が向上し、BMIや心血管リスク因子の改善につながると推測されます。


【結論】
3か月間の統合ヨガ介入は、甲状腺機能低下症の女性におけるうつ症状、TSH、脂質異常の改善に有効である可能性が示されました。今後はより大規模で対照群を設けた研究により、この結果の再現性とメカニズムの解明が期待されます。

引用文献は下記よりご覧下さい.

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