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Column

年を重ねると筋肉は硬くなるのか、柔らかくなるのか

「体が硬くなる」という実感の正体

記事作成日

2025年9月25日

「体が硬くなる」という実感の正体

「年を取ると体が硬くなる」

誰もが一度は耳にしたことがある言葉だと思います。若い頃には難なくできた前屈がだんだん浅くなり、肩や背中も思うように回らなくなる。こうした変化を実感するたびに、「やっぱり年齢とともに筋肉が硬くなっているんだ」と思い込むのは自然なことかもしれません。

しかし、科学的な研究の視点から見直してみると、この「硬くなる」というイメージは必ずしも正確ではありません。むしろ筋肉そのものは年齢とともに柔らかくなる傾向があるのです。体感と実際の生理学的変化のあいだにあるギャップを埋めることが、このテーマを理解する第一歩になります。

筋肉そのものは柔らかくなる

筋肉そのものは柔らかくなる

──サルコペニアの影響

超音波エラストグラフィー(筋肉の硬さを計測できる医療技術)やバイオメカニクスの研究によれば、高齢者の筋肉は若年者に比べて弾性が低く、実際には柔らかい状態にあります。その背景にあるのが「サルコペニア」です。

サルコペニアとは加齢にともなう筋肉量の減少で、特に速筋線維(Type II fibers)が萎縮しやすいことが知られています。筋線維が細くなり、収縮力が低下し、内部の水分量も減少します。その結果、若い頃のように弾力のある“張り”を維持できず、ふにゃっとした柔らかさを帯びるのです。

例えるなら、若い筋肉は張りのあるゴムボール、高齢の筋肉は空気が抜けて少し萎んだゴムボールのような状態。硬さというより「弾力の喪失」が本質的な変化だと言えるでしょう。

硬さを感じさせる“周辺の要素”

硬さを感じさせる“周辺の要素”

ではなぜ「硬くなった」と感じるのでしょうか。実はその正体は筋肉ではなく、周囲の組織にあります。

1. 腱や筋膜などの結合組織
加齢によってコラーゲン線維が糖化し(AGEsの蓄積)、本来のしなやかさを失ってゴワゴワと固くなります。この「結合組織の硬化」が可動域を制限する最大の要因です。

2. 関節包や靭帯の変化
長年の負荷や炎症によって柔軟性を失い、動きのスムーズさが失われます。特に股関節や肩関節など大きな関節では顕著です。

3. 神経系の影響
加齢により感覚受容器や中枢神経の反応が鈍くなり、筋肉が伸ばされると脳が「危険」と判断してストップをかけやすくなります。これを「伸張反射」と呼びますが、高齢になると余計に敏感に働きやすくなるのです。

こうした要素が複合的に作用することで、「筋肉は柔らかくなっているのに、体は硬く感じる」という逆説が生まれるのです。

「柔らかさ」と「硬さ」が同居する老化の二重構造

「柔らかさ」と「硬さ」が同居する老化の二重構造

この逆説はとても興味深い現象です。筋肉は衰えて柔らかくなる一方で、結合組織や神経系の働きが「硬さ」をつくりだす。その結果、柔らかさと硬さが同居する独特の状態が形づくられます。

例えば高齢者の太ももを触ると、見た目は細くなり、触感はふにゃっと柔らかいのに、実際に脚を伸ばそうとすると固く動きづらい…、そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。これこそが筋肉と結合組織の“矛盾した変化”が同時に起きている証拠です。

また、この二重構造は転倒リスクや関節痛にも直結します。筋肉が柔らかく弱まることで支える力が減り、同時に結合組織が硬くなることでスムーズに動けなくなる。これが「老化によって体が硬くなった」と見なされる背景にあるのです。

「伸ばす」ではなく「力の入れ方を整える」

「伸ばす」ではなく「力の入れ方を整える」

よく「ストレッチで筋肉を伸ばしましょう」と言われますが、実際には筋肉そのものが大きく伸びているわけではありません。研究でも示されているように、ストレッチで変化するのは「筋肉の長さ」そのものではなく、神経系の許容度や関節を包む組織の柔軟性です。

だからこそ、studio Sahana では「伸ばす」という意識はあまりおすすめしていません。その代わりに大事にしているのは、力の入れ方です。筋肉をどう使うか、どの方向に働かせるかを丁寧に探ることで、身体は自然に余計な緊張を手放し、本来の可動域や呼吸の深さを取り戻していきます。

とはいえ、「ストレッチに意味がない」と言っているわけではありません。いわゆるストレッチ動作は、関節の動きを確認したり、今の自分の身体の状態を把握するためにとても有効です。前屈して「今日は腰が重いな」と気づいたり、肩を回して「昨日の運動の疲れが残っている」と感じたり。その気づきこそがセルフケアの第一歩になります。

つまり、ストレッチは「筋肉を伸ばす作業」ではなく「自分の身体を観察する時間」へと捉え直すと、より豊かな効果が得られるのです。そして「年齢を重ねると筋肉は柔らかく、周りは硬くなる」という逆説を理解すれば、鍛えることと観察することを組み合わせて、より柔軟で力強い体を取り戻せるはずです。老化は単なる衰えではなく、体の仕組みを深く理解するチャンスでもあるのです。

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