
Column
美しくなるヨガとは、神経の美容のことだった?
記事作成日
2025年7月26日
まだ知られていないヨガの本当の効能
「ヨガって、身体が柔らかくなるんですよね?」
「ダイエットにいいって聞いたことがあります」
そんな言葉を耳にするたびに、僕は少しだけ惜しいなぁと感じるのです。
もちろん、ヨガにはストレッチ効果もありますし、運動としての健康効果も科学的に認められています。
でも、studio Sahanaでお伝えしているヨガの本質は、それよりももっと深くて静かで、
そして気がつけば人生そのものを変えてしまうような力を持っていると僕は感じています。
それは、「神経の美容」と呼べるような変化です。
つまり、呼吸と身体を整えることで“自律神経そのものが調律される”。
その結果、感情の波がゆるやかになり、思考のクセがほどけ、体調や対人関係まで変わっていく。
ヨガは、実はそのような「内面の美」を取り戻す手段でもあるのです。
今日は、“神経の美容”という少し不思議なテーマから、ヨガの魅力をお話してみたいと思います。
「美容」とは、そもそも何を意味していた?
私たちは普段、「美容」という言葉を外見のケアと捉えがちです。
肌の調子、髪の艶、体型のバランスなど、目に見える部分にフォーカスされがちですよね。
でも本来、美しさとは「生命が調和している状態」そのものを指していたともいわれています。
古代インドのサンスクリット語では「ラサ(Rasa)」という言葉があり、これは“味わい”や“感情の本質”を意味し、生命の流れが美しくあること=美であるという感性があったのです。
たとえば、季節の風にハッとしたり、静かな夜に胸がじんわりと温かくなったりする瞬間。
それは、内側で自律神経が柔らかく交わり、「いまここ」の感受性が戻ってきた証でもあります。
ヨガは、そんな「内なるバランス」=神経の調和をつくるための、とても繊細で賢いツールなんですね。
外見の美しさは、こうした内側の静けさから、にじみ出てくるもの。
だからこそ、「神経の美容」という言葉がぴったりくるのです。
神経が整うと、どんなことが起きるのか?
自律神経が整うというのは、単にリラックスするという話ではありません。
それは「身体と心の司令塔の再起動」のようなもので、さまざまな変化を引き起こします。
実際に当スタジオに通われている方の声をいくつかご紹介すると——
・「夜のスマホ時間が自然と減って、眠りが深くなりました」
・「仕事中、イライラに気づけるようになって、うまく切り替えられるようになりました」
・「自分の体調を、カレンダーではなく感覚で予測できるようになってきた気がします」
これらは、神経と感覚が再接続されたことの現れです。
緊張と弛緩、動と静、外向きと内向き。
私たちの身体は、もともとリズムの生き物です。
けれども現代社会は、このリズムを奪い、常に“オン”の状態を強いてきます。
ヨガを続けることで、呼吸や動きの中に自分だけのテンポが戻り、
まるで“本来の自分にチューニングする”ような感覚が育っていくのです。
それこそが、神経の美容効果とも言える変化ではないでしょうか。
運動神経ではなく、“感受性としての神経”
ここで言う「神経が整う」とは、反射神経や筋力の話ではありません。
もっと微細で、もっと日常にひそむ感覚――
たとえば、
・「今、呼吸が少し浅くなってるな」
・「このまま無理すると、あとで頭痛が出るかも」
・「本当は寂しいだけなのに、怒りにすり替わっていたかもしれない」
こうした微細な「気づき」は、身体の柔軟性よりも、よっぽど人生をラクにしてくれます。
ヨガは、ポーズをとるためのトレーニングではなく、
こうした“内的センサー”を目覚めさせるための練習でもあるのです。
studio Sahanaでは、1回のセッションで10個も20個もポーズを行うことはしません。
それよりも、“今の自分に合ったポーズを丁寧に味わうこと”を大切にしています。
それが、「神経を美しく保つ」最短ルートだと考えているからです。
“神経の美容”という新しい健康観
見た目の美しさは、もちろん大切です。
でもそれは、単なる“結果”であって、“目的”ではないのかもしれません。
神経が整い、呼吸が深くなり、感覚が研ぎ澄まされてくると、
立ち姿や話し方、言葉の選び方にまで変化が表れます。
それは、整えようとしたわけではなく、自然に現れてしまう内側からの静かな自信なのです。
studio Sahanaでお届けしているのは、そんな「外から磨く」のではなく「内側から澄んでくる」美容。
忙しさのなかで見落とされがちな“神経の声”に、少しだけ耳を傾けることで、
私たちはもっとしなやかに、美しく、生きていけるのだと思います。






