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Column

ヨガと精神神経免疫学が示す心身相関の未来

ヨガと精神神経免疫学(PNI)の出会い

記事作成日

2025年9月5日

ヨガと精神神経免疫学(PNI)の出会い

「心と体はひとつ」という言葉は、かつては哲学的な響きをもって語られてきました。けれども今や、それは比喩ではなく、科学的に説明される領域に入りつつあります。その学問のひとつが「精神神経免疫学(PNI)」です。PNIは、ストレスや感情がどのように免疫に影響するかを解き明かす学問で、1970年代に誕生しました。そしてこのPNIにヨガが結びついたことで、研究は一気に広がりを見せました。

ヨガは古代から心身の調和を目的としてきましたが、現代の科学は「ヨガが免疫系や神経系にどう働くのか」を数値で解き明かそうとしています。PNIの枠組みがあったからこそ、「ヨガはなぜ効くのか?」という問いが世界中で研究対象となり、20年の間に膨大な知見が蓄積されてきたのです。

20年間で広がった研究の流れ

20年間で広がった研究の流れ

ヨガと精神神経免疫学(PNI)の研究は、この20年で大きく広がりを見せています。2000年代初頭には、年間発表数はまだ数十件程度にとどまっていましたが、2010年代以降は着実に増加し、2021年には200件を超える規模にまで成長しました。特にCOVID-19のパンデミック期には、免疫やストレスに関連する研究が急増し、「オンラインヨガ」や「遠隔での心身ケア」といった新しい形の実践が研究対象となりました。

研究の進展を見ていくと、初期には「気分が落ち着く」「不安が減る」といった心理的な変化が中心でした。しかし徐々に「免疫細胞の数が変化する」「炎症マーカーが下がる」といった生理学的な指標に注目が集まり、最近では「神経可塑性」という脳の柔軟性にまで議論が広がっています。こうした流れは、ヨガが単なるリラクゼーションを超えて、脳と免疫をつなぐ科学的な介入法として受け止められ始めていることを示しています。

科学が示すヨガの具体的効果

科学が示すヨガの具体的効果

研究で取り上げられるキーワードを見ても、ヨガの効果は明確に示されています。たとえば「心拍変動」は自律神経の安定を示し、「コルチゾールの低下」はストレス応答の軽減を示します。また「炎症性サイトカインの減少」は免疫機能の健全化につながります。これらの変化は、ヨガが身体の中でどのような影響を及ぼしているかを科学的に裏付ける指標となっています。

さらに脳画像研究では、ヨガによって「感情調整」や「注意力」に関わる脳領域が強化されることが確認されています。つまり、ヨガは「体感的に気持ちが楽になる」というレベルを超え、「身体の中で起こる変化」として記録できる段階に達しているのです。慢性疾患やうつ、不安障害、がん患者の補助療法としての有効性も報告されており、ヨガは心身相関を整える科学的アプローチとして確かな存在感を持っています。

世界の研究動向とインドの立ち位置

世界の研究動向とインドの立ち位置

国別に見ると、研究数はアメリカが圧倒的に多く、次いでカナダ、イギリス、オーストラリアが続きます。ヨガ発祥の地であるインドは第5位にとどまっており、国際共同研究としての貢献は大きいものの、単独の研究数や引用数では控えめな状況です。一見すると意外ですが、それは同時に大きな成長余地が残されていることを意味します。

実際に私自身も2015年から2017年にかけてインドのヨガ研究施設に滞在していたのですが、その時に感じたのは、研究に対する情熱や人材は豊かでも、研究インフラや設備面ではまだ発展途上という現実でした。たとえば測定機器の不足やデータ共有の難しさなど、環境的な制約が研究の進展を妨げている印象がありました。それでも現場には「伝統を科学で裏付けたい」という強い思いがあり、そうした熱意が国際共同研究という形で生かされているのだと感じます。

また、研究者の顔ぶれを見ても、西洋の研究者たちが国際的なネットワークを牽引している一方で、インドの研究者も伝統的知識を現代科学に結びつける役割を担っています。伝統と科学の橋渡しが進むことで、ヨガの価値はますます国際的に認められていくでしょう。

これからのヨガとPNI研究がひらく未来

これからのヨガとPNI研究がひらく未来

20年にわたる研究の積み重ねは、「ヨガは科学的に検証される心身療法になりつつある」という事実を示しています。これからは標準化された介入プロトコルや大規模な臨床試験が進み、心拍変動や炎症マーカーといった生理的データと、ストレスや不安などの心理的データを統合する研究がさらに重要になるでしょう。

「どこにいても心身を整えられる」というヨガの可能性は、パンデミックを経てさらに広がりました。研究者にとっては新たな挑戦の舞台が開け、実践者にとっては「自分のヨガにはこんな科学的根拠があるんだ」と納得できる材料となります。そして私たちにとっては、心と体をひとつとして捉える未来の医療やセルフケアの姿を垣間見る手がかりになるのです。

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