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169:体よりも脳の柔らかさ

最近、久しぶりにヨガに関する研究論文を調べていまして、まあ目新しいものは無かったのですが(悪いことではないのですが、ヨガって研究のテーマとしてかなり弱いんです…)、古くから伝わるヨガの実践が、現代の神経科学の視点から見ても、僕たちの心と体に深い影響を与えているんだなと、あらためて気が付かされます。



ということで今日のテーマは、「ヨガが脳の神経可塑性(ニューロプラスチシティ)にどのように影響を及ぼすのかについて」です。先にお伝えしたいことは、タイトルの“脳の柔らかさ”は、触って柔らかい/硬いではないですよ。久しぶりにサイエンティフィックなヨガメルマガの今回ですね(こうやってカタカナばかり使っていると、だんだんと嫌われていくんだろうな…と思っています)。



神経可塑性とは、脳が経験に応じてその構造と機能を変化させる能力のことです。かつては、脳は成人になると変化しない固定された器官であると考えられていました。しかし現在では、脳は一生を通じて変化し続ける非常にダイナミックな器官であることが科学によって明らかにされています。



ヨガの実習では、この神経可塑性を促進することが研究で示されています。例えば、アーサナ(ポーズのことですね)を通じて身体の特定の部位に刺激を与えることで、その部位に関連する脳の領域が活性化されます。これにより、脳の回路が強化され、柔軟性が高まります。できなかったヨガのポーズができるようになる、という感じですね。



さらに、ヨガには呼吸法(正確にはプラーナヤーマといい、呼吸法とはちょっと意味合いが異なります)や瞑想も含まれます。これらの実践は、ストレスを軽減し、感情をコントロールする脳の領域にポジティブな影響を与えるわけです。瞑想中には、“前頭前皮質”という「意志決定」「注意力」「意識の覚醒状態」を担当する脳の部分が活性化されます。定期的に瞑想することにより、この領域を強化してくれ、ストレスに対する耐性を高めてくれるのです。



加えて、ヨガはエイジングに伴う認知的衰退に対する保護効果を持つ可能性が示唆されています。定期的なヨガの実践が、記憶力や注意力を含む認知機能の保持に役立つとされているだなんて、なんだか凄いことじゃないですか。まさに、インド人もびっくり…ですね……。



皆さま、いかがでしょうか。ヨガが単なる身体運動ではなく、僕たちの脳の構造と機能を積極的に形作り、変化させるツールでもあるというイメージが出来てきましたでしょうか。次回、ヨガマットに立つ際には、一つ一つの動きが自分の脳にどのように作用しているかを想像してみるのも面白いかもしれませんね。


Sahanaメルマガ Vol.330(2023年11月)より

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