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Column

ヨガとアーユルヴェーダ、食事と心の安らぎ

ヨガとアーユルヴェーダ、食事と心の安らぎ
食事と心身の関係性

 私たちの体は食べたものでできています。頭ではなにとなく“そうだろうなぁ”と思っていても、なかなか実感する機会はないですよね。インドに来るとみんなの体からスパイスの香りがするので容易に気が付くことができます(笑)。「Diet/食事」という英単語がそのまま日本人の「ダイエット/減量」に結びつくように、私たちの体重のみならず健康をコントロールするためには食事が第一という意識が強くあります。



 お肉が大好きなあの人はより動物的なハツラツとした雰囲気がありませんか?食事量が少ないあの人は植物のように静かな雰囲気がありませんか?私たちが普段食べているものは体に必要な栄養になるだけでなく、内面性にも影響するものではないでしょうか。
食べないことには生命の維持が困難な私たちにとって、食事に意識を向けることはとても動物的なことです。ですが、食べ物の選択肢がとても多く、必要以上に食べられるという現代の状況は私たちの食への意識を至極人間的なものにしています。前回の記事で述べたように、私たちは己の舌を制する必要性のある社会で生活しているのです。



 私たちの先祖の食事を遡ると、初期人類はナチュラルハイジーンと呼ばれる果物と野菜が中心の食事でした。もちろん中期人類、後期人類にかけても果物と野菜はずっと食べられ続けていますし、変わらず食事の中心ではないでしょうか。ですが、魚と肉が食卓に並び出してからは、食事に偏りができる人も少なくはありません。近年では、アメリカの医師を中心に「ナチュラルハイジーン」と呼ばれる、より自然に寄り添った健康法も提唱されています。また、世界にはブルーゾーンと呼ばれる健康で長生きする人が多い地域が各地にあり、そこで暮らす人々には9つの共通した生活習慣があるのですが、「植物性食品を基本とする」ことや「腹八分の食生活」、「人生をスローダウンさせる」ことのように、食事に関する習慣がその内の3分の1を占めています。

ヨガとアーユルヴェーダ、食事と心の安らぎ
ヨガ実習者へ推奨される食事
(ハタヨガ・プラディーピカより)

 ヨガを実習されている方はもちろんのこと、全ての方が食事に関して考えてみるよい機会だと思いますので、ハタ・ヨーガの教典『ハタヨガ・プラディーピカ』より、ヨガ行者に推奨される食事をご紹介いたします。




不摂生は避けられるべきであり、それらは、一度冷めてしまったものを再び加熱すること、乾燥しているもの(自然な油分を含まないもの)、塩分または酸味が強すぎるもの、新鮮ではない野菜または多すぎる野菜を混ぜたものである。―第60節


……一度冷めてしまったものにはバクテリアが潜み、胃の中を発酵させ消化不良に繋がる。油分は最低限の量が必要であり、余剰な塩分や酸味は機能のバランスを崩す(塩分は心拍数に影響を及ぼす)。多すぎる野菜を混ぜれば、その化学反応が消化機能を崩し、体の機能を邪魔する。消化機能は常に素早くスムーズに行われなければならない。消化することばかりにプラーナ(生気)を費やし、無駄にしてはならない。



(ヨガ行者に最も適している食べ物は)良質な穀物、小麦、大麦、米、牛乳、ギー(インドのバター)、赤砂糖、氷砂糖、蜂蜜、ドライジンジャー、パトラフルーツ(ヘチマ)、5種類の野菜、ヤエナリ(小豆の一種)又はそのような豆類、綺麗な水(である)。―第62節



……全ての穀物や米は必要不可欠な炭水化物とビタミンBを供給してくれる。新鮮な牛乳やギーは消化器官の粘膜を保ってくれる、砂糖は脳が効率よく働くことに必要である。蜂蜜とドライジンジャーは消化に良いものとして推奨される。5種の野菜とはBalasaka、Kalasaka、Patolapatraka、Vastaka、Himalochikaであり、これらの葉もの野菜はホウレン草に似ている。豆類(の中でも軽く、消化に優しいものを食べるべき)はタンパク質を供給してくれる。綺麗な(澄んでおり化学物質の入っていない)水は、私たちの体を浄化してくれる。





 大昔からインドのヨガ行者たちは食事のこともしっかりと考え、自ら管理しながら修行に励んでいたようです。修行の最初の段階で心身を整えることができなければ、そのあとに続く修行「座位」「呼吸法」「瞑想」で望ましい結果を得ることはできないだろうと言われているのです。
上記に述べてあるこれらの食べ物は、現代を生きる私たちが見ても納得できる健康的な食事ではないでしょうか。



 また、ヨガ行者の推奨する食べ物はサトヴィック・フードと呼ばれ、言い換えるならば中庸の食べ物です。つまり、心身が活発になりすぎず(陽性)、心身が落ち着きすぎず(陰性)、バランスがよいもの(中庸)だということです。辛いものの様に、刺激が強い食べ物は体の働きを活発に(消化、発汗等)させると同時に心までも活発にすると考えられています。もちろん活性化と沈静化の二つの作用が私たちの心身にとって大事になりますが、バランスが取れているニュートラルな状態が好ましいのです。

ヨガとアーユルヴェーダ、食事と心の安らぎ
アーユルヴェーダから見た
1日の循環と食事とは

 アーユルヴェーダでは空(大気)、風、火、水、地の五大元素から6つの味覚*が成っているとしており、また私たちの体も「地」「火」「風」の三元素から成っているとされています**。私たちの人生において幼少期は「地」であり、青年期は「火」、壮年期は「風」とされており、このサイクルが一日の中でも繰り返されているのです。各々の元素の詳しい説明は割愛させていただきますが、皆さまが言葉からイメージするようなもので大きな違いはありません(地は力強く粘り気があり、火は燃えるようなパワーがあり、風は軽やかです)。以下、上記のサイクル図を時間ごとに適した活動内容で説明しています。



*苦味、辛味、渋味、酸味、塩味、甘味
**「地」「火」「風」のバランスは個人によって異なり、どの元素が優位かにより推奨される食べ物とそうでない食べ物が「味」によって考えられています。



06 am – 08 am KAPHAⅠ
- 運動
- 軽食
- 排泄完了
- 一日に向けた準備
- エネルギーの蓄え
……全ての行動がゆっくりしている。もし朝6時を過ぎて起床するならば、起きにくく睡眠不足を感じるだろう。この時間に食べたものは消化されないので、食事は軽くあるべきである。



10 am – 14 pm PITTAⅠ
- 計画
- 準備・整理
- 行動
- 高い代謝
- しっかりとした食事
……代謝が最も高まる正午に向けて、体が準備していく。12時は最も吸収率がよく、一日の中で最も質の高いしっかりとした食事とビタミンを摂取する時間である。



14 pm – 18 pm VATAⅠ
- 活動
- 交流・やり取り
- 社会的活動
- 最後の食事
……活動が盛んな時間である。夕食は昼食よりも軽いものがよい。精神活動や会話は生き生きとすべきである。



18 pm – 22 pm KAPHAⅡ
- 吸収/消化
- 沈静化
- 寝るための準備
- 心の中へ
……体内エネルギーは身体を休める(眠る)ために徐々に落ち着いていく。すんなりと眠りにつけるだろう。もし22時までに布団に入らない場合、特に遅い時間帯に食事をした場合は、寝返りをうつ睡眠になるだろう。



22 pm – 02 am PITTAⅡ
- 深い眠り
- 吸収・消化、変換
- 色夢
- 意識下での活動
……活発的な時間であり、この時間での睡眠は深いものであり、また色のある夢を見る。もしこの時間帯でも起きているならば、代謝機能は夜の活動に備え夜食を欲してしまう。



02 am – 06 am VATAⅢ
- 浅い眠り
- 排泄活動開始
- 起床
- 瞑想
- 想像・視覚化
- 創造
……瞑想者が霊性の高い段階へ到達するためにつかう“高まる宇宙の流れ”と調和する。もし4時から5時までの間に起床し、心身を高める準備(行動)ができたならば、一日がとてもエネルギッシュなものになるだろう。反対に6時以降に起きてしまったなら、気だるい朝の時間を過ごすことになるだろう。



 朝陽と共に目覚め、夕陽と共に心身を休めていく生活の仕方はとても自然に沿っており、心身に無理なく長期的に活動を続けることができます。学業や仕事がある現代の私たちにとって、このような生活リズムで過ごすことは困難なことですが、世界的に有名な企業のCEOたちが早起きする理由が理解できたのではないでしょうか。

ヨガとアーユルヴェーダ、食事と心の安らぎ
食事をするタイミング

 昔の日本では一日二食(朝夕)が当たり前だったと言われていますが、それが三食(朝昼夕)になったのは約300年前からのようです。照明器具の発達により、人の行動時間が以前よりも長くなったことが理由として挙げられます。また、同じように欧米諸国でも照明機器が発達したことにより労働時間が長くなりましたが、エジソンが「食事は一日三食とるべきだ」と謳ってトースターを売りまくったという話は皆さんもご存知かと思います。つまり、人によって適した食事のタイミングと量は異なりますので、「一般的には~~」や「憧れのモデルの食生活が~~」などと他人を基準にすることは適していません。



 先述のアーユルヴェーダの一日のサイクルが示すように、自分の生活習慣や行動(学業や仕事)に合わせて食事をすることは理に適っていますよね。その上、排泄の時間、頭を使う時間、体を使う時間を把握していれば、体内のエネルギーを効率的にどこ(頭、胃腸、筋肉等)に使うかを考える役に立つのではないでしょうか。



 また、免疫学者の藤田鉱一郎先生は「お腹が鳴ってから食べなさい」とおっしゃっています。「昼の12時だから…」「昼食から6時間経ったから…」など、時計ばかりを見て食事のタイミングを考えられたことはありませんか。もちろん時間を考えて食事することは大事ですが、それと同時に腸に耳を傾けてあげる必要もあります。頭で考えたことばかりを優先しがちですが、実際に食べたものを消化するのは腸なので、しっかりとお腹の感覚も研ぎ澄ましてより良い食生活を目指しましょう。

あらためて食事について考えてみて

 ヨガとアーユルヴェーダの考えを中心に、食事に関しての記事を書かせていただきました。しかしながら、完全に個人の意見としては、せっかく現代に生きているのだから食事することも存分に楽しむべきではないかと思います(笑)。考えすぎもよろしくないのかと。好きなものを食べると気分が良くなりますし、誰かと食事することは立派なコミュニケーションツールですよね。「これは食べちゃダメだ」や「この時間に食べなきゃ」という強い気持ちは食事する楽しみを薄めてしまうかもしれませんし、一緒に食事できる相手がいなくなってしまうかもしれません。仏教***では、快楽または苦行の極端に走らない中庸の道「中道」をモットーにしています。本やインターネットの情報に頼り過ぎず、自分に合った食べ物を見つけること、心身の調子が整う食事のしかたを確立することが健康への第一歩です。知識はとても大切なものですが、文字や数字ばかりの情報に惑わされないよう、ご自身の感覚もしっかりと大事にされてください。




【補足】
***仏陀はVipassana(内観)とAnapanasati(安那般那念/入出息念)という、じっくり観察こと・考えること・集中することについてラージャ・ヨーガの八支則であるYama(禁戒)、Niyama(勧戒)と似たような考えがあります。




【参考】
1. Commentary-Swami Muktibodhananda, Guidance-Swami Satyananda Saraswati (3rd-1998) Hatha Yoga Pradipika – Light on Hatha Yoga, Yoga Publications Trust, Bihar
2. Dr. Light Miller & Dr. Bryan Miller (1998) Ayurveda & Aromatherapy, Motilal Banarsidass Publishers Private Limited, Delhi
3. 藤田鉱一郎 (2013), 人の命は腸が9割~大切な腸を病気から守る30の方法, ワニブックス, 日本

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