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ヨガは遺伝子レベルで身体にどんな変化を起こすのか?

ヨガは遺伝子レベルで身体にどんな変化を起こすのか?
記事作成日
2025年6月16日

今回は「ヨガって、遺伝子にまで影響を与えるの?」という、なんとも壮大な疑問に正面から向き合った、最新の論文をご紹介します。

この研究は、2015年から2024年にかけて行われた11本のランダム化比較試験(RCT)をまとめたレビューで、いわば「分子生物学から見たヨガの効能集大成」といっても過言ではないかもしれません。

これまで、「ヨガはなんとなく気持ちが落ち着く」「身体にいい気がする」といった印象で語られることが多かったわけですが、今回の論文では、その“気がする”を、“データで見る”へと変えてくれるものです。

たとえば、慢性炎症に関係するIL-6やTNF-αといった遺伝子の活動が、ヨガをすると抑えられます。そして逆に、免疫を整えてくれるTGF-βやFoxP3といった遺伝子のスイッチが「オン」になるんですね。まるで体の中のスイッチが、「戦うモード」から「癒すモード」に切り替わるような変化が起きているわけです。

特に興味深いのが、DNAの修復に関わる遺伝子OGG1や、ミトコンドリアの活性に関係するSIRT-1のような“老化防止”にもつながる遺伝子にも変化が見られた点です。つまり、ヨガは気分や柔軟性を整えるだけじゃなく、細胞の若返りにも一役買っているみたいですよ。

さらに、マイクロRNAやDNAメチル化といった「エピジェネティクス(後天的な遺伝子のオンオフ)」にも変化がありました。ここは少し難しく感じるかもしれませんが、ざっくり言えば「ヨガをすると、遺伝子がストレスに強くなるような状態になる」ということ。これは慢性疾患の予防や再発防止にも希望を与えるものに。

ただし「研究ごとに実施されたヨガの種類や期間、対象者の病歴などがバラバラなので、今後はもう少し統一された条件での長期研究が必要だね」というのも研究者たちの共通見解です。

ヨガのように心を静めて身体に耳を傾けるその時間が、確かに細胞のレベルで僕たちに働きかけていることが、こうして科学的にも明らかになってきております。そう考えると、毎日のヨガマットの上の時間が、少し誇らしく、そして楽しみになってきませんか。

 下記、研究の要約まとめです。

Effects of Yoga on Gene Expression: A Systematic Review of Randomised Controlled Trials

Giridharan S, Soumian S, Kumar N V, et al. (April 21, 2025) Effects of Yoga on Gene Expression: A Systematic Review of Randomised Controlled Trials. Cureus 17(4): e82690. doi:10.7759/cureus.82690

【タイトル】
「ヨガが遺伝子発現に与える影響:ランダム化比較試験の系統的レビュー」


【背景】
ヨガは古代インドに起源を持ち、精神性を含んだ総合的な身体実践として、世界中に広まってきました。近年ではストレスや慢性疾患の軽減に有効だとされる中、遺伝子発現という分子レベルでの影響に注目が集まっています。過去には炎症関連遺伝子の抑制などが報告されてきましたが、近年のゲノム解析技術の進展を背景に、より精緻な研究が必要とされていました。

【遺伝子発現とは?】
遺伝子発現とは、私たちの細胞内にあるDNAの情報が、必要に応じて読み出され、タンパク質などの形で機能するプロセスのことです。このプロセスが過剰であったり不十分であったりすると、炎症や老化、疾患の進行に関わることが知られています。


【遺伝子発現とヨガの関係性について】
ヨガの実践は、ストレスや炎症に関わる特定の遺伝子の発現を抑えたり、逆に細胞の修復や免疫バランスを整える遺伝子の発現を促す可能性があります。これにより、病気の進行を遅らせたり、生活の質を改善したりする効果が期待されています。


【方法】
このレビューでは、2015年から2024年にかけて発表された11本のランダム化比較試験(RCT)を精査しています。対象は健常者や、糖尿病、リウマチ、がん経験者、高齢者など多岐にわたり、介入内容はアーサナ、プラーナーヤーマ、瞑想などを含んだヨガ実践です。評価項目は主に遺伝子発現の変化と、それに付随する炎症指標、酸化ストレス、生活の質の改善などでした。


【結果】
多くの研究で、炎症を引き起こす遺伝子(IL-6、TNF-α、NF-κBなど)の発現がヨガによって抑制されていました。一方で、抗炎症作用や免疫調整に関与するTGF-β、FoxP3、sHLA-Gなどの遺伝子は活性化されていました。また、DNA修復を担うOGG1や、老化抑制に関わるSIRT-1、ミトコンドリア機能に関わるAMPKなども向上していました。さらには、マイクロRNAやDNAメチル化といったエピジェネティクス変化も確認されていますcureus-0017-00000082690。


【考察】
この結果は、ヨガが単なるリラクゼーションを超え、分子生物学的にも「身体の修復力」や「免疫バランス」にポジティブな影響を与えることを示唆しています。特に、慢性炎症性疾患を抱える人にとって、ヨガは医療的治療に加えた補完的アプローチとして有効である可能性が高いです。ただし、研究ごとにヨガの内容や対象者、期間に違いがあり、全体の一般化には注意が必要です。


【結論】
ヨガは炎症性遺伝子の抑制、DNA修復、抗老化遺伝子の活性化などを通して、分子レベルでの健康促進効果を持つ可能性があります。これらの変化は、臨床的にも痛みの軽減や糖尿病コントロール、生活の質の向上として確認されています。ただし、今後はサンプルサイズを拡大し、より長期的な効果を評価する研究が必要です。

引用文献は下記よりご覧下さい.

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