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環境に働きかけて脳の健康を持続させる:運動、認知トレーニング、マインドフルネスがBDNFを介して記憶力を改善する仕組み

環境に働きかけて脳の健康を持続させる:運動、認知トレーニング、マインドフルネスがBDNFを介して記憶力を改善する仕組み
記事作成日
2025年6月12日

2025年6月12日現在、スタジオ建物のエレベーター工事のため、3週間ほど階段を使って地上と9階を行き来しております。この度は、ちょっとヨガやアーユルヴェーダから離れて、せっかくの今の状況にお勧めな研究論文をご紹介します。

皆さんは最近、何か新しいことを始めたり、身体を動かしたり、ちょっと心を整えたりしていますか?実はこれらの行動は、脳の中の特別なタンパク質「BDNF」を増やし、記憶や集中力を高めるとても大切な働きを持っています。この論文は、その仕組みをとても分かりやすく教えてくれる、まさに脳の健康に興味があるすべての人におすすめしたい一本なんですね。

僕たちの脳は歳を取ってもずっと新しい神経細胞が生まれ続けることをご存知でしょうか?その大切な舞台が「海馬」と呼ばれる場所です。しかし、この素晴らしい能力も、加齢やストレス、生活環境によって衰えてしまうことがあります。そんな時、この論文が教えてくれるのが、「運動」「認知トレーニング」「マインドフルネス」の3つのキーワードです。

まず運動は、短時間でもBDNFを劇的に増やします。特に階段を使った高強度インターバルトレーニングは、手軽でありながら即効性が高く、都市環境でも簡単に取り入れられる方法です。一方、認知トレーニングは即効性こそありませんが、数週間続けるとじわじわとBDNFを増やし、長期的に脳の力を高めてくれます。さらにマインドフルネスは、瞑想や自然の中で過ごすことを通してストレスを減らし、脳の炎症を抑えてくれます。

これら3つの要素は、別々に働くだけではなく、実は互いに影響し合い、相乗的に脳の健康を高めることが分かっています。つまり、日常生活の中で適度に身体を動かし、新しいことにチャレンジし、心を落ち着ける時間を持つことが、脳の成長を最大限に引き出す秘訣なんですね。

しかし、現実には私たちが暮らす環境が、こうした行動を自然に促すように作られていないことが問題です。この論文は、私たちが普段利用するオフィスや住居、公共施設などを工夫することで、日常的にこれらの健康行動を自然に行える環境づくりを提案しています。例えば、階段を魅力的にデザインすることで運動を促したり、室内に美術作品を飾って視覚的な刺激を高めたり、緑を増やしてリラックス効果を高めたりすることです。

著者はこうした環境設計の具体的なヒントを丁寧に示しており、脳科学、建築、都市計画、公衆衛生といった分野が連携すれば、より健康で幸福な社会を築ける可能性を教えてくれます。まさに、この論文は僕たちが心と体を元気にするためにどんな環境を作っていけば良いか、その答えを具体的に示してくれる心強い味方と言えるでしょう。

 下記、研究の要約まとめです。

The BDNF-Interactive Model for Sustainable Hippocampal Neurogenesis in Humans: Synergistic Effects of Environmentally-Mediated Physical Activity, Cognitive Stimulation, and Mindfulness

Khalil, M.H. The BDNF-Interactive Model for Sustainable Hippocampal Neurogenesis in Humans: Synergistic Effects of Environmentally-Mediated Physical Activity, Cognitive Stimulation, and Mindfulness. Int. J. Mol. Sci. 2024, 25, 12924. https://doi.org/10.3390/ijms252312924


【タイトル】
持続的な海馬神経新生のためのBDNF相互作用モデル:環境による運動、認知刺激、マインドフルネスの相乗効果


【背景】
人間の脳では、生涯を通じて海馬の神経細胞が新しく生まれる(神経新生)が、この能力は加齢や環境要因によって低下します。環境を適切に整えることで、この脳の再生能力(神経可塑性)を維持・促進することが重要です。しかし、どの環境要素が実際に効果的であるかを解明することは難しく、現実的な環境下での研究が不足しています。


【BDNFとは?】
BDNF(脳由来神経栄養因子)とは、脳の成長や神経細胞の生存を促し、記憶や学習能力に深く関わるタンパク質です。運動や認知的刺激、マインドフルネスといった活動を通じて分泌が促進され、精神的健康や神経新生を支える重要な役割を果たしています。


【運動・認知訓練・マインドフルネスについて】
運動はBDNFを即座に上昇させる効果があります。特に高強度インターバルトレーニングが最も有効です。認知訓練(記憶力や集中力を高める活動)は即効性はないものの、持続的にBDNFを増やします。マインドフルネスはストレスを軽減し炎症を抑えることでBDNFを間接的に保護します。これら3つの活動は互いに補完し合い、相乗的に脳の健康を促進します。


【方法】
この論文は新しい理論モデルを提唱し、これらの活動がどのようにして分子レベルでBDNFを介して神経新生を促進するかを説明しました。特にBDNFが運動、認知訓練、マインドフルネスと相互作用して、脳を健康に保つ仕組みを明確にしました。


【結果】
運動は即効的かつ強力にBDNFを分泌させますが、その効果は短期間で消えます。一方、認知訓練は長期間にわたり持続的な効果を発揮します。マインドフルネスはBDNFを増やすというよりも、BDNFが消耗する原因(ストレスや炎症)を抑えることで脳を守ります。


【考察】
これら3つの活動を環境的に促進するためには、都市設計や室内環境を工夫する必要があります。例えば階段を日常的に利用することで運動を促したり、室内の芸術的な要素を増やして認知的刺激を高めたり、自然環境を取り入れてマインドフルネスを高めたりすることで、脳の健康を維持できます。


【結論】
この論文は、人間が日常的に接する環境を利用してBDNFを最適に調整し、神経新生を持続的に促進する方法を提案しています。都市計画者や建築家、公衆衛生専門家が協力することで、認知機能の維持や精神的健康の改善に貢収できる可能性を示しています。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

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