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医学教育現場におけるヨガ「ストレス管理と健康増進への可能性」

医学教育現場におけるヨガ「ストレス管理と健康増進への可能性」

医学部や歯学部の学生は、毎日膨大な勉強量とプレッシャーにさらされています。そのため、ストレスや不安が溜まりやすく、体調を崩すことも少なくありません。そんな中、古くから健康法として知られるヨガが、医学教育の現場でも注目を集めています。

この研究では、ヨガが医学部・歯学部の学生にどのような効果をもたらすのかを調べました。その結果、ヨガを取り入れることで血圧や心拍数が下がり、ストレスや不安が軽減されることがわかりました。また、肺の機能も向上し、呼吸が深くなりやすいことも明らかになりました。

特に興味深いのは、90%以上の学生がヨガの効果を認識しているにもかかわらず、実践しているのは20%未満だったことです。しかし、ヨガを試した学生のほとんどが『続けたい!』と感じたとのこと。つまり、ヨガは効果があるだけでなく、やってみると『良い』と実感しやすいということですね。

この研究は、医学教育の現場にヨガを導入することが、学生の健康管理にとって大きなメリットがあると示しています。医学を学ぶ人々が、自分自身の健康を大切にしながら学ぶことは、とても重要です。これからの時代、ヨガは医学生にとっても欠かせないスキルの一つになるかもしれません。

 下記、研究の要約まとめです。

The psychosomatic impact of Yoga in medical education: a systematic review and meta-analysis

Maity, S., Abbaspour, R., Bandelow, S., Pahwa, S., Alahdadi, T., Shah, S., … Nauhria, S. (2024). The psychosomatic impact of Yoga in medical education: a systematic review and meta-analysis. Medical Education Online, 29(1). https://doi.org/10.1080/10872981.2024.2364486


『医学教育におけるヨガの心身への影響:系統的レビューとメタ分析』


【背景】
医学・歯学教育の現場では、学生が高いストレスやプレッシャーにさらされることが多く、精神的・身体的な健康への悪影響が懸念されています。そのため、伝統的な補完療法であるヨガや瞑想、マインドフルネスなどの非臨床的アプローチが注目されています。本研究は、ヨガが医学生・歯学生の心身の健康にどのような影響を与えるかを検証することを目的としています。


【医学教育の現場について】
医学生や歯学生は、厳しい学習環境と長時間の勉強、臨床実習によって、精神的・肉体的に疲弊しやすい状況にあります。このストレスが原因で、燃え尽き症候群(バーンアウト)、不安、うつ病などのリスクが高まることが報告されています。このような状況を改善するために、ヨガを教育カリキュラムに取り入れる動きが世界的に広がっています。


【ストレスとは】
ストレスとは、外部からの刺激(学業、試験、社会的プレッシャーなど)に対する心と体の反応です。医学教育においては、成績へのプレッシャー、睡眠不足、患者対応の難しさなどがストレスの要因となります。ストレスが慢性化すると、心血管系の異常(高血圧、心拍数増加)、免疫力低下、集中力の低下などが生じる可能性があります。


【ストレス管理について】
ストレスを管理する方法として、適度な運動、マインドフルネス、呼吸法、睡眠の確保などが挙げられます。本研究では、特にヨガがストレス軽減にどのように貢献できるかを検証しました。ヨガは、呼吸法(プラーナーヤーマ)、瞑想、アーサナ(ポーズ)を組み合わせた実践であり、自律神経のバランスを整え、心身をリラックスさせる効果が期待されています。


【方法】
研究手法:
・系統的レビューとメタ分析

データベース:
・PubMed、Scopus、Embase から 304 本の論文を収集

スクリーニング:
・47 本の論文を詳細分析
・18 本の論文(統計的に均質なデータを持つもの)をメタ分析に使用

評価対象:
・生理的指標(血圧、心拍数、肺機能)
・心理的指標(ストレス、不安、うつ症状)


【サンプル】
・対象者:医学・歯学部の学生
・総計:3,826名

ヨガを実践するグループと、ヨガを行わない対照グループに分け、効果を比較


【結果】
▼生理的改善
・収縮期血圧(SBP):6.82 mmHg 低下(p = 0.002)
・拡張期血圧(DBP):2.92 mmHg 低下(p = 0.03)
・心拍数(HR):2.55拍/分 低下(p = 0.006)

▼心理的改善
・ストレスレベル:標準スコアで 0.77 の有意な低下(p < 0.0001)
・不安レベル:標準スコアで 1.2 の有意な低下(p = 0.01)

▼肺機能の改善
・肺活量(VC)、1秒量(FEV1)、呼吸筋の強化 などの改善が報告された

▼学業成績への影響
・学業成績が向上したとの報告もあるが、統計的に有意な改善は一部の研究に限定された


【考察】
①ヨガの健康増進効果
ヨガは心血管機能を改善し、ストレスホルモン(コルチゾール)を低減することで、心身の健康を向上させる可能性がある。

②医学教育への導入の可能性
学生の健康維持と学業パフォーマンス向上のために、カリキュラムにヨガを導入することが推奨される。

③ヨガの普及における課題
ヨガの実践率は 20%未満と低く、時間管理やモチベーションの欠如が障壁となっている。
90%以上の学生がヨガのメリットを認識しているが、実際に継続的に行う学生は少ない。


【結論】
ヨガは医学・歯学部の学生において、ストレス、不安、高血圧の軽減に有効であることが確認されました。
カリキュラムの一環としてヨガを導入することで、学生の心身の健康を支え、学業成績の向上に貢献できる可能性があることを示唆しています。
今後は、より長期的な研究を行い、ヨガの教育現場での実践的な応用を探る必要があります。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

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