top of page
studio Sahana logo ヨーガ ヨガ ヨガスタジオ ヨガセラピー
Study

ヨガセラピーの長期的実践が、酸化ストレスを抑制してうつ病の症状を改善する

ヨガセラピーの長期的実践が、酸化ストレスを抑制してうつ病の症状を改善する
記事作成日
2025年6月5日

最近なんとなく気持ちが落ち込んだり、日々の暮らしが色あせて見えるような経験をしたことはありませんか?そんな気分の揺れを「気持ちの問題」だけで片付ける前に、ちょっと立ち止まって、自分の体の中を覗いてみませんか?

実は最近の研究で、心の不調には「酸化ストレス」という身体的な変化が関係していることが分かってきました。酸化ストレスというのは、体の中で発生する「活性酸素」が増えすぎてしまい、細胞を傷つけてしまう現象のことなんですね。この酸化ストレスが高まると、うつ病などの精神疾患が進行しやすくなるということが明らかになってきています。

そんな中で、インドの研究チームがとても興味深い研究を発表しました。それは、「ヨガを取り入れた治療が、実際に酸化ストレスを抑えて、うつ病の症状を和らげる効果があるのか」というものなんですね。具体的には、通常の薬物療法にヨガを加えたグループと、通常の治療だけのグループを比べる形で調査をしました。

結果は、なんとも嬉しいものに。ヨガセラピーを受けたグループでは、体内の酸化ストレスの指標が大きく低下しただけでなく、うつ病の症状そのものも顕著に改善したんです。一方、ヨガを取り入れていないグループは、酸化ストレスは少し下がりましたが、症状の改善はヨガ群ほどではありませんでした。

ここから見えてくるのは、「ヨガ」というシンプルな方法が、実は非常に深いところで私たちの身体と心を調整しているということです。心の問題と思われがちなうつ病も、実は身体の仕組みと密接に関わっている。その身体の状態を整えることで、心の健康も改善できるということを、この研究は私たちに教えてくれています。

そしてなにより魅力的なのは、ヨガというアプローチが、薬のような副作用がなく、長期的に続けやすいことなんですね。特にこの研究では、自宅で簡単に続けられるよう工夫されたヨガプログラムを使っています。週に数回、少しの時間でもいいので続けるだけで、心も体も自然なバランスを取り戻していける。そんな可能性が、ヨガには秘められています。

日々のストレスや疲れを抱える私たちにとって、この研究が示した「ヨガセラピーの可能性」は、まさに心強い味方となるでしょう。「自分をいたわりたい、でもどうすれば?」と思っている方、ぜひヨガの持つ力を日々の生活に取り入れてみませんか。心と体がゆるやかに、そしてしっかりと調和していくのを感じられるはずです。

 下記、研究の要約まとめです。

Long-term Add-on Yoga Therapy Modulates Oxidative Stress Pathway and Offers Clinical Benefits in Major Depressive Disorder: A Randomized Controlled Trial

Talukdar PM, Reddy PV, Bhargav PH, Subbanna M, Karmani S, Arasappa R, Subramanian GV, Kesavan M, Debnath M.
Int J Yoga. 2023 Sep-Dec;16(3):180-184. doi: 10.4103/ijoy.ijoy_174_23. Epub 2024 Feb 9. PMID: 38463645; PMCID: PMC10919410.


【タイトル】
長期間の補助的ヨガセラピーは、酸化ストレス経路を調整し、大うつ病性障害に臨床的効果をもたらす:ランダム化比較試験


【背景】
大うつ病性障害(MDD)は再発が多く、機能障害を伴う複雑な疾患です。抗うつ薬による治療が主流ですが、副作用や効果が十分得られないことが多いため、新たな補助的治療法の模索が求められています。その中で、ヨガセラピー(ヨガ療法)が有望な治療法として注目されてきました。


【酸化ストレスとは?】
酸化ストレスとは、体内で発生した活性酸素種(ROS)が過剰になることで、細胞や組織が損傷を受ける状態を指します。これは細胞膜を傷つけたり、慢性的な炎症を引き起こしたりすることから、うつ病をはじめとする多くの疾患との関連が指摘されています。


【大うつ病性障害とは?】
大うつ病性障害(MDD)は、強い気分の落ち込みや興味の喪失、活動量の低下、絶望感、集中力の低下などを特徴とする精神疾患で、日常生活や社会的な機能に重大な影響を及ぼすことがあります。


【ヨガセラピーについて】
ヨガセラピーは、ヨガのポーズ(アーサナ)、呼吸法(プラーナヤーマ)、瞑想などを組み合わせ、身体的・精神的健康を促進する治療法です。本研究で用いられたヨガ療法は、うつ病患者向けに設計・検証された特定のヨガプログラムを用いています。


【方法】
研究はインドの精神衛生神経科学研究所(NIMHANS)で行われました。うつ病患者33名を対象に、ヨガ療法を行う群(16名)と、待機リストで通常の治療のみを受ける群(17名)にランダムに分けました。ヨガ療法群は12週間にわたり、専門家による指導と自宅練習を組み合わせて実施しました。実施前後で血液を採取し、酸化ストレスの指標となるMDA(マロンジアルデヒド)および抗酸化物質(AO)のレベルを測定しました。


【結果】
ヨガ療法群では3か月後にMDAのレベルが有意に減少し、抗酸化物質のレベルも上昇傾向が見られました。また、うつ症状の評価スコア(HAMD, MADRS)もヨガ療法群で大きく改善しました。一方、通常治療のみの群でもMDAのレベルは多少低下しましたが、症状改善はヨガ療法群ほど顕著ではありませんでした。


【考察】
今回の研究結果から、ヨガ療法は酸化ストレス経路を調節することでうつ病の症状を改善する可能性が示されました。酸化ストレスはうつ病の発症や症状悪化に関与する重要な要素であり、それを軽減するヨガ療法は、生物学的観点からも価値ある治療法だと言えます。また、ヨガ療法は炎症性の経路にも影響を与える可能性があり、複合的な作用によってうつ病を改善している可能性が示唆されました。


【結論】
ヨガ療法は、大うつ病性障害患者において酸化ストレスを軽減し、症状改善に有効な補助療法であることが示されました。今後さらに規模の大きい研究を行うことで、ヨガ療法がうつ病治療の選択肢として確立される可能性があります。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

Copyright ©2018-2025 studio Sahana All Rights Reserved.

studio Sahanaのロゴです「Sahana」というサンスクリット語は「静かなる力強さ」を意味します

〒231-0023

神奈川県​横浜市中区山下町​112-3

ポートタワー山下町902

 

E-mail: info@studio-sahana.com​​​​​

bottom of page