top of page
studio Sahana logo ヨーガ ヨガ ヨガスタジオ ヨガセラピー
Study

ヨガによる痛みの緩和と心身相関の研究

ヨガによる痛みの緩和と心身相関の研究

ヨガが痛みに及ぼす効果が、単なる身体的な運動だけでなく、自律神経系や炎症反応、さらには心的態度の調整に関与していることが明らかにされました。

ヨガは、感覚認識(インターセプション)を高めるため、「痛みを感じるプロセス」そのものを再構成し、自己の痛みや感情に対する認識を積極的に変化させるんです。

これにより、例えば、慢性痛や慢性的なストレスに悩む患者の方が、薬物治療に頼ることなく痛みを管理する可能性が広がるかもしれません。

薬剤では難しい「慢性の過敏化」に対応できることは、医療的な視点でも非常に意義があることですよね。

今回ご紹介する研究は、「ヨガが“複雑適応システム”として働く点」に焦点を当てており、これはヨガが単なる運動療法の域を超えたものであることを示唆しています。

ヨガの持つ科学的な効果が、痛み緩和だけでなく、心身の健康の維持や回復にも及ぼすという新しい視点をもたらしているわけです。

 下記、研究の要約まとめです。

Yoga and pain: A mind-body complex system

Deepak Chopra1,Eddie Stern2, William C. Bushell3, Ryan D. Castle4
1The Chopra Foundation, New York, NY, United States
2Vivekananda Yoga University, Los Angeles, CA, United States
3Chopra Foundation Institute, New York, NY, United States
4Chopra Foundation Institute, Honolulu, HI, United States
Front. Pain Res., 23 February 2023
Sec. Non-Pharmacological Treatment of Pain
Volume 4 - 2023 | https://doi.org/10.3389/fpain.2023.1075866


『ヨガと痛み:心と身体の複合システム』


【背景】
この研究では、痛みの反応が「複雑適応システム」として機能することを前提に、ヨガがその反応とどのように相互作用するかを検討しています。複雑適応システムとは、個々の部分が相互に影響し合い、予測不可能な全体的な反応を生み出すシステムを指し、痛みとヨガの相互作用もこのシステムに該当する可能性があります。ヨガが単なる運動以上の多面的な影響を持ち、複雑適応システムの一部として、痛みの緩和に有効であるかを探求することが本研究の目的です​。


【痛みのしくみ】
痛みは、脳が危険を避けるために身体からの信号を認識し、解釈するプロセスです。痛みの信号は末梢神経から中枢神経に送られ、脳がその情報を「痛み」として認識します。また、痛みの感覚が繰り返されると、神経システムが過敏化し、慢性痛を引き起こすフィードバックループが形成されることが知られています​。


【心と身体の関係】
心と身体の関係は、ヨガがどのようにして痛みを緩和するかに重要な影響を与えます。ヨガは、呼吸法や瞑想を通じて自律神経系(特に副交感神経)の調整を促し、身体の炎症反応や痛みの感覚を抑える効果があります。また、ヨガによるポジティブな体の認識やインターセプション(内受容感覚)が、痛みの過敏化を減少させ、痛みに対する耐性を高めることが示されています​。


【方法】
研究では、まずヨガの痛み緩和に関する証拠をレビューし、その後ネットワーク分析と複雑適応システムのマッピングを行いました。文献レビューで関連するキーワードを整理し、ヨガと痛みの関係性を調査。さらに、複雑適応システムの要素と痛みやヨガの相互作用を視覚的にマッピングすることで、システム全体の影響を検討しました​。


【結果】
ヨガは、身体の痛み応答システムに多面的な影響を与えることが確認されました。ネットワーク分析によって、ヨガの様々な実践が痛みの緩和と関係しており、ヨガと痛みの応答が複雑適応システムの特徴を共有していることが示されました。特に、ヨガがフィードバックループを通じて痛みの過敏化を抑える効果を持つことが確認されました​。


【考察】
ヨガは、単なる運動ではなく、痛みに対して多面的なアプローチを提供する「複雑適応システム」として機能すると考えられます。ヨガの実践が神経系に与える影響が痛みの緩和に役立つ可能性があり、ヨガが痛み管理のための効果的な行動療法であることを示唆しています。研究結果は、痛み管理においてヨガの長期的な全身的影響を考慮する必要性を強調しています​。


【結論】
本研究は、ヨガが複雑適応システムとして痛み緩和に有効であることを示唆しています。これにより、慢性痛の管理には短期的な対処療法ではなく、ヨガを含む心身アプローチが全身的な効果をもたらすことが期待されます。

引用文献は下記よりご覧下さい.

もし、掲載内容と論文に誤りがございましたらご連絡いただけると幸いです。

bottom of page