
Study
ストレスを抱えた成人におけるヨガの効果を検証するレビューと分析

ヨガがストレス軽減に効果があるって話はよく耳にしますよね。
でも、その効果がどのくらい科学的に証明されているか、気になりませんか?
この論文は、13件のランダム化比較試験をもとにした最新のメタ分析で、特にストレスを抱える成人を対象にしたものです。
その結果、ヨガには短期間でストレスを減らしたり、生活の質を向上させたりする効果が期待できることが分かりました。
特に注目したいのは、ヨガが安全で、誰でも比較的簡単に取り入れられる方法だという点です。
一方で、研究の質や対象者の偏り(例えば女性が多いことなど)といった課題も指摘されています。
だからこそ、今後さらに精度の高い研究が必要とされていますが、それでも現代社会で忙しい毎日を送る中、ヨガはストレス管理の頼れる選択肢の一つとして注目されるべきだと思うわけです。
下記、研究の要約まとめです。
Effects of yoga on stress in stressed adults: a systematic review and meta-analysis
Alina Schleinzer(1)(2*)
Alina Moosburner(1)(2)
Dennis Anheyer(1)(2)(3)
Laura Burgahn(1)(2)
Holger Cramer(1)(2)
1: Institute for General Practice and Interprofessional Care, University Hospital Tübingen, Tübingen, Germany
2: Robert Bosch Centre for Integrative Medicine and Health, Bosch Health Campus, Stuttgart, Germany
3: Department of Psychology and Psychotherapy, University Witten/Herdecke, Witten, Germany
Front. Psychiatry, 01 November 2024
Sec. Anxiety and Stress Disorders
Volume 15 - 2024 | https://doi.org/10.3389/fpsyt.2024.1437902
『ストレスを抱える成人におけるヨガのストレス軽減効果:系統的レビューとメタ分析』
【背景】
現代ではストレスの有病率が高まり、それによる健康問題(心血管疾患、慢性的な頭痛、うつ病、不安症など)が広がっています。そのため、ストレス軽減の方法は重要性を増しています。ヨガはインド哲学に基づく非薬物療法で、身体と精神の調和を促進する手段として広く利用されています。本研究では、ストレスを抱えた成人におけるヨガの効果を検証しました。
【ストレスとは?】
ストレスは環境の脅威に対する自然な反応ですが、過度または長期化すると健康に悪影響を及ぼします。ストレスは心血管疾患や精神的な問題だけでなく、社会的・経済的コストも引き起こします。
【ヨガとは?】
ヨガはインド哲学に由来し、身体のポーズ(アーサナ)、呼吸法(プラーナーヤーマ)、瞑想(ディヤーナ)を通じて、心身の調和を目指す実践です。西洋では主に身体的な運動や呼吸法が中心ですが、心身の健康に幅広い効果があるとされています。
【ストレスとヨガの関係性】
ヨガはストレスホルモンであるコルチゾールの減少、血圧の低下、心拍数の安定、リラクゼーションの促進に寄与します。また、マインドフルネスを高め、否定的な思考への気づきを促すことでストレス管理に役立つとされています。
【方法】
研究は系統的レビューとメタ分析の形式で実施され、2023年3月17日までのデータを検索(2024年5月17日に更新)。ストレスを自己申告した成人を対象とするランダム化比較試験(RCT)を選定しました。
【サンプル】
13件のRCTが質的分析に、9件が量的分析に含まれ、合計1026人の参加者が対象。参加者の年齢は33.5~55.5歳で、91.5%が女性でした。
【分析方法】
データは標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を用いて統計解析を行いました。Cochraneツールを使用して研究の質を評価し、GRADEガイドラインに従ってエビデンスの質を格付けしました。
【結果】
①短期的効果(ストレス)
・パッシブコントロール群との比較で、ヨガのストレス軽減効果が統計的に有意(SMD=-0.69)。
・アクティブコントロール群では統計的有意性は確認されず。
②生活の質
・パッシブコントロール群との比較で、生活の質の改善が統計的に有意(SMD=0.86)。
・アクティブコントロール群との比較では有意な差はなし。
③安全性
・有害事象は3件の研究で報告されず、安全性が示唆されました。
【考察】
ヨガはパッシブコントロール群に対して短期的なストレス軽減効果と生活の質向上の可能性を示しましたが、研究の質が低く、解釈には注意が必要です。また、女性の割合が高いなどの制限があります。
【結論】
ヨガはストレスを抱える成人における非薬物療法として検討する価値がありますが、研究の質向上とさらなるエビデンスの蓄積が求められます。
引用文献は下記よりご覧下さい.
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