Column
瞑想のすゝめ

執筆:2019年2月(執筆者:平岡充乃介)

 かの有名なCEOスティーブ・ジョブス氏も行っていたこともあり、日ごろヨーガに関心のない方でも「瞑想」という言葉を聞いたことがあると思います。多くの方が、瞑想に関して何となく想像はつくのではないでしょうか。座禅を組んで目を閉じているイメージですね。そして「瞑想とは“無”になることだ」と思われている方もいらっしゃるかと思います。

 よく言われる「“無”になるとは何か?」を、この記事でなるべくわかりやすく説明できればと思います。すでにヨーガ教室に通われている方も、ご自身の実習をより良いものにする機会となれば幸いです。

自分の内側へ意識を向ける、集中する

─己の外側から内側へ「アシュタンガ・ヨーガ」

 

 「ヨガ」と聞いて“瞑想”のほかに“さまざまなポーズ”と連想される方は多いのではないでしょうか。では、なぜヨガ教室ではポーズを練習することが必要不可欠かご存知でしょうか?瞑想とポーズの関係はどのようなものでしょうか?

 伝統ヨーガの聖典『パタンジャリ・ヨーガ・スートラ』の中で、ヨーガの修行技法を八段階に分けた「アシュタンガ・ヨーガ」が記されています。このアシュタンガ・ヨーガ(八支則のヨーガ)は大きく二部制に分けることができます。

 

 多くの方がご存知の「アーサナ(ヨーガのポーズ)」や「プラーナヤーマ(呼吸法)」は第一部の技法であり、外部環境に影響されないよう身体や諸感覚器官を制御する方法を身に付けるものとなります。

【第一部:体の外側へのヨーガ修行技法/バヒランガ・ヨーガ】
 

・道徳心の揺れや強い欲求によって、あなたの行動は左右されていませんか?
 →①ヤマ(禁戒/個人の戒律)と②ニヤマ(勧戒/集団の戒律)で行動を整える

・体のどこかが痛い時や、病気している時に集中力が持続できますか?
 →③アーサナ(ポーズ/座法)で身体を整える

・あなたの活力に浮き沈みはありませんか?
 →④プラーナヤーマ(生気調律/呼吸法)で体内エネルギーを整える

・音やニオイに気分を害されたり、目につくものにイラッとしていませんか?
 →⑤プラタャアハーラ*(感覚を閉ざす/制感法)で諸感覚器官を整える


 ポーズをとることがヨーガ実習の目的ではなく、実は準備段階の一つだったんですね。どうでしょうか、周りにいらっしゃるヨーガをされているお知り合いが、なんだか修行をしているような気がしてきませんか。知らないとよく分からないヨーガでも、意外とシステマティックな実習/修行法なんですね。
 

 

 さて、ここまで準備ができましたら、自分の内側へ意識を向ける次の段階へ進みます。

 

【第二部:体の内側へのヨーガ修行技法/アンタランガ・ヨーガ】
 

⑥ダーラナ(集中/凝念)
 ダーラナとは、心を一点に縛ること(集中)である(PYS – 2.1)

 

⑦ダャーナ*(瞑想/禅那)
 絶え間ない意識の流れ(対象物への念)がダャーナである(PYS – 2.2)

 

⑧サマーディ(超自然的意識/三昧)
 自己の意識を伴わずに対象物が現れた時にサマーディとなる(PYS – 2.3)

 

 こうして⑥~⑧を文字だけ見ても「…なにこれ?」と思いますよね。僕も初めはそうでした(笑) 以下に例を挙げて説明します。
 

 じっと座ったまま動かずに、心の中で“A”という対象に集中するとします。秒間隔に心の中を表した状態が「A-A-A-B-A-C-A-A-B-C-C-A(BとCは雑念)」なのが⑥ダーラナ(凝念)、いわば集中段階です。集中を繰り返すうちに、徐々に雑念であるBやCが紛れ込まなくなります。そのような心の状態「AAAA-AAAAA-AAA」が⑦ダャーナ(禅那/“禅”)となり、瞑想であるとされています。そうです、「瞑想=無になること」ではないのです。

 そして⑧サマーディ(三昧)ですが、自らの意識を越えて対象物が心の中にやってくること、または対象と一体化する状態を指します。伝統的ラージャ・ヨーガの継承者の木村慧心先生(ヨーガ・ニケタン)がこのサマーディを分かりやすく説明されていました。
 

*カタカナ表記が難しいサンスクリット語です。「⑤プラティヤハーラ」「⑦ディヤーナ」等と表記されることもあります。

瞑想を始めてみる

瞑想の材料は経験/記憶の中に

 

 

 「瞑想=無になることではない」こと、「瞑想の前段階として集中/凝念がある」ことを先に述べました。

 

 私たちが何に対して集中しやすいかというと、過去の体験を基にした記憶なんですね。以下、おすすめの題材です。

 

▪家族の顔を(温もりを感じる程リアルに)思い浮かべる
▪楽しかった思いをしている自分を客観的に見つめる
▪成功体験を順序立てて思い起こす etc.

 これ、意外とやってみたら分かるのですが、「ぐっと集中できた時」って、気が付いたら3分とか5分とか、はたまた10分とか経っているんですね。

 

 「瞑想を何分するぞ~!」って意気込んで始めるより、「ちょっと目を閉じて集中してみるか」くらいの気持ちで始めて、集中が途切れた時を終わりにする方が、気楽に瞑想を始められるのでいいかなと思います。

 

 集中すればするほど、心が静かになっていくのを感じますよ、きっと。

 

 

日常の中の瞑想「能動的瞑想」と「受動的瞑想」

 

 

 瞑想といっても、座禅を組んで微動だせず座っているものだけが瞑想ではありません。僕が「瞑想はいつでも何処でもできる」と言ったのは、生活の中の動作も瞑想と捉えることができるからです。

 

能動的瞑想
 日常生活の活動の中で起こり得る瞑想。歩くこと、話すこと、食べること等。
 カルマ・ヨーガ(行動)、バクティ・ヨーガ(愛と信仰)。
  
受動的瞑想
 座位にて行われる瞑想実習。意識を一つの対象や呼吸等に絞ること、自分の内側をただ見つめること等。

 

ちゃんと座ることができれば立派な瞑想実践者

 

 

座法を極める「揺るぎない姿勢」

 

 この記事でも先述しましたが、すでに多くの方々に「ヨーガ≠難しいポーズをとるもの」という認識が広まっていることと思います。これには、私たち日本人の価値観や考え方がヨーガを受け入れやすいということが理由の一つでしょうし、多くの素晴らしい先生方が全国各地でヨーガを普及されているという背景もあります。

 皆さんは、今どのような姿勢でこの記事を読まれているでしょうか。背筋はしゃんと伸びていますか?それとも気が付けば背筋が丸まっていましたか?リラックスしている時こそ癖が出てしまいますよね。自然に正しい姿勢をとることはとても難しいのです。

 

アーサナとは揺るぎなく安定しており且つリラックスしている座位である
(Patanjali Yoga Sutras 2-46)

 

パタンジャリ大師は「まずは正しい姿勢で座ること」を提示しており、それは以下の

 

体の癖や性質をコントロールすること、そして瞑想での無限の時間を通して姿勢は揺るぎなく安定し且つリラックスする
(PYS 2-47)

 

ものとし、

 

その後(正しい姿勢を覚えれば)、二元性の感覚(対になるもの…「例: 好き&嫌い」)に悩まされることはなくなる
(PYS 2-48)

 

とおっしゃっています。

 古くから日本でも「姿勢は心を表す」とされていますよね。安定した座法で、できるだけ長く姿勢を保つこと、たったこれだけでも立派なヨーガ実習です。「一つの座位を毎日続けること、それが真の実習である」とも言われています。アーサナはポーズと訳されますが、英語での直訳はSitting postureで、日本語にすると座位/座法です。気持ちを安定させる為には、まずは姿勢から安定させましょう。

 

 

快活であれ

 

 尊敬できるあの人や、信頼できるあの人はどこかいつも快活ではないでしょうか。人生でどんなことが起きようとも笑って受け止められる懐の深さを感じませんか。

 幸せかどうかの判断基準として「今あなたは笑っているだろうか、または笑えるだろうか」というものがありますが、ネガティブなものが意識の奥深くにあるのでは思い切り笑えませんよね。楽しい時や幸せな時には、腹を立てたり他人との優越を比べたりしないのが人間です。気分がよくない時、なんだか元気がない時に「今の自分はどうだろうか?」と自問してみてください。静かな空間へ行き、ゆっくりと自分と向き合ってみることが気分転換になるかもしれません。このような時に自然はいつも私たちの味方をしてくれますね。

 例えば、失恋した時、仕事に失敗した時など、暴飲暴食に走ることによって一時的な心の安定を得られるかもしれませんが、むしゃくしゃしていない状態で飲食した方が美味しく楽しく感じませんか。一休さんも「ひと呼吸、ひと呼吸」と言っていますね。上記に説明したように、下位の意識(無意識)の領域は食欲や内臓機能も司っています。自分の内側に潜むコンプレックスと静かに向き合える力は、自身のストレスフリーな環境をつくり上げ、健康な心身への大きな手助けともなるのです。これはダイエットコントロールにも大いに役立つのではないでしょうか。

 どこで何をして生活をしていようと、心が躓いてしまう機会、落ち組んでしまう機会はそこら中にあります。下向きになってしまった気持ちを上に向ける手段として、いつでも何処でも、たった3分間の実習でも効果の期待できる瞑想に可能性を感じませんか。

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