31:ストレスと付き合う自然性

31:ストレスと付き合う自然性


九州地方または中国地方西部にお住まいの皆さま、ご家族の方々やご自宅は大丈夫でしょうか。近年は台風や豪雨などの災害規模が大きくなっており、地球の環境問題について考えさせられる機会ばかりです。日常生活でも、経済活動でも、より環境に寄り添った選択をしたいものです。と言っても、ヨットで移動するわけではないのですが…。



気候予測や強固な建物など、文明の利器に守られている人間ですら自然災害に敵うわけはなく、それこそ自然界に生きる野生動物たちは、常時とてつもない危険とストレスに晒されています。彼らは日ごろから、いったいどんなストレスを…と思って調べたら、すこし予想と異なった研究結果を見つけましたので、以下にご紹介します。





スタンフォード大学の神経学/ストレスの研究で、「野生動物にもストレスを感じているはずだ」という推測のもと、アフリカの野生のヒヒを対象としたストレス調査が行われました。そして予想通り、ヒヒたちも人と同じようにストレスを感じていたのですが、その原因がまさに「人と同じように」だったのです。



ヒヒのストレスは、食料が足りないことや、捕食動物が近くにいるかもしれないという自然界がもつ危険性とは関係なく、ヒヒたちのヒエラルキーがもたらす“格差”にあったようなのです。いわゆるボスザルであったり、上位の攻撃的な雄ヒヒが下位の雄を攻撃したり嫌がらせすることに対して強いストレスを感じていたのです。「(あら、職場を思い出す、、、)」と思ってしまった方はいないでしょうか…。



その実験では、調査中にたまたま伝染病によって上位のヒヒたちが犠牲になってしまい、攻撃的な雄がいなくなった為、集団から格差は消え、同時にストレスもなくなり、平和が広がったそうです。動物の分野は全く詳しくない僕ですが、それでも自然界でのストレスはシンプルなものではないだろうと思っておりました。しかし、そこには想像以上に複雑なストレス環境があることを知り、ヒヒの世界も大変なんだなぁと考えさせられます(ヒヒたち、すごくないですか)。





ちなみに、ヒヒたちの格差が生み出すような「恒常的で苦痛を伴うものは、ネガティブなストレス」なのですが、「安全で慈悲を感じる状況での一過性のストレスは、幸福をもたらす」とされています。目の前にボタンを押すと報酬が出てくる装置があるとしまして、そのボタンを押せば毎回同じ報酬をもらえる時の脳よりも、2回に1回の割合で報酬がもらえる時の方がドーパミンの量が多いのです。報酬の量は半減しているのですが、喜びが増すわけです。なんとも不思議な脳のしくみですよね、、、(ギャンブルが好きな方が多くいらっしゃるのも頷けます)。



全てのストレスを悪者にしてしまうと、どうしても「ストレスのない生活」を目指してしまうのですが、本当になんにも無いと、かえって日常にハリがなくて疲れてしまいませんか。在宅が多くなった方は、どうでしょうか?



もちろん「すすんでストレスを体験すべきだ」なんて言うつもりはなく(だって満員電車がない生活の方が良さそうですもんね)、「日常的な害のない浮き沈みをもたらすもの」を意識してみると、長い在宅時間の中でも楽しいと感じられる瞬間が増えるかもしれませんね。ジョギングやジムに行くこと、自宅でヨガをすること等、始める前は「(今日はやっぱりやめておこうかな…)」と思ってしまいますが、終わってしまえば後悔することってなかなかないですよね。


Sahanaメルマガ vol.133より(2020年9月)

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