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168:水と生命体

先週は、建物全体の断水トラブルによりスタジオのお手洗いが使用できない日がありまして、ご来店くださった方々には大変ご迷惑をおかけしました。日本で生活していると、そもそも水資源が豊富な上に、上下水道が整備されているので、「水を使用できない」という状況に不慣れな自分が恥ずかしいとともに、「あぁちゃんと日本人しているな」という変な安心感もあります。



インド生活時代には、主に乾季での水不足問題は日常茶飯事であり、体を洗う為の水を確保する際には、大きなバケツを持って大学構内を歩き回っていました。運よくバケツ一杯分の水を確保できても、それを大切に使わなければ全身を洗いきれないので、この時ばかりは水の有難みをそれなりに実感していたわけですが、日本にいるとこの気持ちを忘れていくわけです…。「ヒトって怠惰な生き物なんですよ」と、種のせいにしたいところではありますが…。



皆さん仏教はよくご存知だと思うのですが、仏教が興った同じ時代に「ジャイナ教」という宗教がインドに興ったことをご存知でしょうか。波乱万丈のインド思想史において、仏教とジャイナ教が興ったことが歴史を大きく動かす転換期となっているんです。



ジャイナ教は、非暴力、多面的な観点、そして所有欲の放棄といった主要な教えがあるのですが、僕のような第三者から見ると、特に“すべての生命体に対する非暴力”が目立ちます。これは食事、言葉、行動など、日常生活のあらゆる側面に影響を与えておりまして、例えば、ジャイナ教の出家者は常に小さいホウキを片手に持っているんです。歩く時に小さな虫を踏みつぶしてしまわぬよう掃きながら移動したり、座ったり寝る際にも掃いてから虫を除けてあげるのです。そもそも、外出時でさえ“小さな虫を踏まないよう”裸足で歩くんですけども。



ジャイナ教において、水そのものは一般的には非生命(ajiva)と考えられるのですが、非常に微細な生命体(jiva)が宇宙のあらゆるところに存在するという信念を持っているので、この観点からすると、水もまた微細な生命体が宿っている可能性があります。



先述した非暴力と極度の注意深さを教えるため、信者は水を取る、使用する、または廃棄する際にも注意が必要とされます。特に修行僧や(出家していなくても)高度な練習者は、水をろ過したり沈殿させたりしてから使用することがあるんです。これは水中の微細な生命体に対する影響を最小限に抑えるためのようで、そこまで考えて水を使うなんて驚きませんか。



水にも微細な生命が宿る可能性に対する敬意が示されることが多いというジャイナ教の話を聞いて、「私もまだまだだったな…」と思われている方は、既に出家への一歩を踏み出されているかもしれません。


Sahanaメルマガ Vol.329(2023年10月)より

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