166:皮ふについて考える②
ここ最近、気温差が激しいので、体内外への変化に対する意識が高まっている方も多いのではないでしょうか。「お風呂に浸かろう」とか、「首元まで温かい服を着よう」とか、夏に比べて生活の仕方がかなり変わってきたのではないかと思います。
そんな変化の中でも、空腹を感じるタイミングが増えてきたと感じる方は少なくないかと。また、実際の空腹感の有無に関わらず「秋だからねぇ」と食欲が増している方も少なくないかと思いますが、皆さまいかがでしょうか。
暑い夏で低下していた消化力が上がってきたり、これから始まる冬に向けての準備としての食欲だったり(目的は”脂肪を付けること”ではなくて”幸せホルモンを出すこと”なんです、という話をしたの覚えていらっしゃいますか?)、お腹が空くのは自然なことです。
ただ、気を付けていただきたいのが、夜食ですね。「夜食って、太りそうだよねえ」というイメージが強いと思いますが、実は肌に対してかなりのダメージを与えることをご存知でしたか。
ここ5~6年の研究で分かってきたことは、皮膚の細胞は脳の視床下部にある“体内時計”と同調して、24時間のリズムを刻んでいるんですよ。日中は太陽光によって皮膚はダメージを受けるので、夜の間に速やかに再生して、翌日の太陽光やその他物理的な刺激に耐えうる表皮のバリアを整えるわけです。
夜の遅い時間に食事をすると(特にいつもは早めの時間に夕飯を取られている場合)、皮膚はそれを夕食の時間だと勘違いして、翌朝から備えるべき表皮バリアの準備のタイミングを後ろにずらすのです。結果として、夜食をとった次の日はより多くの紫外線にさらされてしまう上に、物理的刺激にも弱くなってしまうわけです。
つまり、夜はご飯を早めに食べてたっぷり寝ることが、皮膚にとってもより良い環境になるということですね。皮膚は目に見えている臓器にも関わらず、まだまだ謎が多いようで、「表皮って想像以上に動的な存在だったんやな」みたいなことは最近の発見らしいです。
個人的な見解では、皮膚科のお医者さんは“患者に文句言われている医師ワースト1位”という大変失礼なイメージがあるのですが(申し訳ございません…、もちろん僕自身は文句なんて言わないですよ)、見に見えている以上に要因が複雑に絡み合っている皮膚の状態を1回の診察で診断するのはとても難しいようなので、皮膚科に行かれる際には「恥ずかしいから夜中に起きて夜食を食べちゃっていることは黙っておこう…」とは思わずに、正直に日常生活をお答えくださいませ。
Sahanaメルマガ Vol.326(2023年10月)より