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158:夏、ヨガと口呼吸
気温が高い日は、鼻から入ってくる空気も高温ですよねえ。鼻から肺にかけて夏を感じる最近でございます。このようなタイミングで、普段はなかなか意識することのない呼吸に注目しますよね。皆さんは、自分の呼吸を意識することが、普段の生活の中にどれくらいありますか。
健康な成人の場合、通常のリラックスした状態では1分間に12回から20回の間で呼吸を行うのが一般的でして、これは静息時の呼吸率と呼ばれます。しかし、運動中やストレスを感じているとき、または高温環境にいるときなどは、呼吸率はこれよりも高くなる可能性があるのですが、今の皆さんの呼吸率はいかがでしょうか。
ヨガっぽいメルマガ風に「じゃあヨガ的な暑さ対策は何があるのか」と言いますと、シートカリー(シートカリープラーナヤーマ)と呼ばれる呼吸法が、一時的な冷却効果をもたらすとされています。この呼吸法は鼻からではなく口から息を吸うんですよ。
皆さんも辛いものを食べたり、熱すぎるものを口に入れた後には無意識に舌や喉を冷やそうと口呼吸になりませんか。汗をかかないとされる犬も、体温が上がると口を使ってハァハァと息をしますよね。この時の口呼吸も放熱を目的としたものですね(ちなみに犬の口呼吸ってパンティングという名称があるんですね)。
このシートカリー呼吸は、①口を少し開け、②舌を丸めてストローのような形にし(舌を丸めるのが難しい場合は、舌の先を上唇に軽く当てて)、③舌を通して空気を吸い込みます。このとき、空気が舌と口の中を通ると冷たさを感じます。④息を吐くときは鼻からです。
舌や口腔を通る空気は、肺に達する前に身体を冷やす働きがあります。これにより、一時的ながらも体感温度が下がると感じるわけなんです。また、これらの呼吸法はリラクゼーションを促すことから、交感神経活動(「闘争または逃走」反応を司る神経系)を抑制し、副交感神経活動(「休息と消化」反応を司る神経系)を高める効果があります。
副交感神経活動が高まると、心拍数や血圧が下がり、筋肉がリラクゼーション状態に入るわけでして。これら全ての効果が、身体が冷却されているかのような感覚を強化するという仕組みですね。そうです、あくまでも“そんな仕組み”なので、この呼吸法が体温自体を大幅に下げるわけではないことは悪しからず…です。
なんだか体が火照っているな…という時や、寝苦しいな…なんて夜に是非とも試されてみてください。ちょっとした体の変化が起こるかもしれませんね。
Sahanaメルマガ vol.316(2023年7月)より