Mail Magazine
069:食べ物と熱量、長寿
少し前に、今年は梅雨入りが早いやらどうやらと書きましたが、なんだかんだ未だ関東は梅雨入りをしていないんですよね。特に梅雨を待ち侘びているつもりはないにも関わらず、「あれ?まだなの…?」と思ってしまうので、なかなかに思わせぶりな今年の梅雨です。
さて、今回のメルマガは前回からの続きでして、カロリーやらなんやらについてです。僕が陸上部だった高校生の頃は、アスリートぶってカロリー制限をしていた時期があるのですが、体にいいというよりは精神的な鍛練だった記憶があります。“食べたいものを我慢する”って、すごい苦行ですよね…。
皆さん、今までに「消費カロリーが摂取カロリーを上回れば痩せる」という文言を聞いたことがあるかと思いますし、中には、これまで嫌というほどカロリー計算を意識してきた…なんて方もいらっしゃるかもしれません。何気なく口にするこのカロリーという言葉、そもそも何を表す単位なのかをご存知でしょうか。「それは聞いたことあるよ」という方も多いのではないかと、そうです“熱量のこと”なんですけど、一言で熱量と言えども、「1kcalは、摂氏14.5度の水1kgを、摂氏15.5度まで1度上げるのに必要な熱量」という、なんとも変わった単位なんですよね。とんでもないくらい想像しにくい単位ですが、これは厳密に正確なので、今では食べ物をカロリーで表すのが当たり前となっております(お風呂にお湯を溜めながら、“あぁ、今ものすごい量の食べ物分の熱量が…”なんて考えたことないですよね、、、)。
そして最近は、瘦せるためにというよりも、健康で長生きするために「食べる量を減らせば、病気のリスクが下がる」という説を見たり、聞いたりする機会も多いのではないでしょうか(ただでさえこのメルマガで、時たまそのようなことを書いているので、“あぁ、そうかも”って思われているかもしれません…こういう回とかですね)。ちょっと驚いたのが、「極小食こそが長寿の秘訣である」というカロリー制限食と長生きについて書かれた本が、1500年代中頃には出版されているんですよね。
そんな説は2000年代になっても支持され、「摂取カロリーを最大で4割(人でいえば1,000kcal程らしいです)減らせば、全動物種は寿命を延ばすことができる」と言われてきました(もちろん、数ある説の一説としてですが)。食べる量を減らすことによって、肥満を減らすのではなく、生物学的な老化プロセスを遅らせることに注目が集まっていました。ですが、近年になって「あれ、摂取カロリーと寿命は何の関係もないじゃないか」というデータを出した科学者の方が現れ、カロリーと寿命論は転換期を迎えそうな時代となっております。
実は、カロリーの総量ではなく、先述したようにカロリーは熱量の単位のことで、大事なのは「どの主要栄養素から生み出されたカロリーなのか」の方だったという発見なのですが、気になるその主要栄養素については、また次回のメルマガにて(と、最近はなんだか連載しているような気分でメルマガを配信しております)。ちなみに今、「カロリー」という文字を見過ぎて不思議な感覚に陥ってしまうあの現象が脳内で発生しています…。
Sahanaメルマガ vol.204(2021年5月)より